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dementia:14-7 [2025/06/16] – 作成 nonbe | dementia:14-7 [2025/06/23] (現在) – nonbe | ||
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- | <color # | + | <color #e7e7eb>① VaD の危険因子として、加齢、運動不足、脳卒中の既往(特に再発性)、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、心房細動、喫煙があげられる</ |
- | <color #c53d43>{{fa>fas fa-check? | + | <color #e7e7eb>② VaD の予防のために、中年期の高血圧に対する降圧療法は推奨される【1B】。しかし、降圧目標値に関してコンセンサスは得られていない</ |
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- | VaD では、脳卒中発作のあと、またはそれに随伴して階段状に認知機能が増悪することが典型的である。脳卒中発症後に認知症を来す者は、脳卒中後認知症と呼ばれている。地域疫学研究では、脳卒中後認知症の割合は脳卒中患者の 30% とされ、その有病率は 1年後の 7% から、25年後には 48% に増える。脳卒中後認知症はその一部は Alzheimer 型認知症が原因であり、その割合は脳卒中後認知症の | + | わが国の久山町研究では、VaD の危険因子として、加齢、長谷川式簡易知能評価スケール低値、脳卒中の既往、収縮期高血圧が有意であり、高ヘマトクリット値にもその傾向があった。特に中年期の高血圧は VaD の強い危険因子であることが示されており、中年期の高血圧は認知症予防の観点からも積極的に治療すべきであると考えられる |
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+ | 一方、主に高齢者を対象とした、降圧剤を用いた大規模なランダム化試験のうち、認知機能を評価的に加えたものは 6つあり(表1)、そのうち 4つの試験では認知症リスクや認知機能に対する明らかな効果は見られなかった。残る 2試験のうち、一方の試験で認知症リスクに対する有用d性が見られ(Syst-Eur 試験)、もう一方の試験では、脳卒中後の認知症に対する効果が見られた(PROGRESS 試験) | ||
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+ | 以上、高齢者の降圧治療や至適降圧目標値に関する科学的根拠は不十分である。よって、高齢期高血圧の降圧治療による認知症予防効果に関して結論は得られていないが、認知機能を悪化させると言うエビデンスは無いことから、降圧療法は行う | ||
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+ | 糖尿病は脳卒中の危険因子であるが、血糖コントロールのみでは脳卒中の再発抑制効果はなく、高血圧など、他の危険因子を併せて管理することが重要である。インスリン治療による血糖コントロールが認知機能を改善させるという科学的根拠は不十分である。スタンチン投与は脳卒中を 17% 減少させるが、認知機能への影響に関しては、報告は一定しない。1年以上ストロングスタンチンを使用すると、認知症新規発症のハザード比が 0.71(98%CI 0.62〜0.82)に低下するこtが報告されたが、認知症の病型は区分されていない。また、台湾の 60歳以上の住民コホート研究では、ストロングスタンチンの仕様が、認知症新規発症を低下させることが示されたが(ハザード比 0.73(0.65〜0.81))、VaD だけに絞るとその効果は有意では無かった(ハザード比、0.92(95%CI 0.72〜1.18)) | ||
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+ | 喫煙は Alzheimer 型認知症とともに、VaD の危険因子であることがメタ解析(2〜30年間の観察を行った 19 の前方試験)で明らかとなっている。喫煙未経験者と比べ、現在喫煙者における VaD の相対危険度は 1.78 倍で、Alzheimer 型認知症の 1.79 倍とほぼ同等であった。禁煙により VaD リスクがどの程度低下するかは今後の研究が必要であるが、VaD 予防のために禁煙が望ましいと考えれる | ||
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+ | 身体活動に関しては、749人の高齢者を対象として平均 3.9 年の観察を行った前方視的試験で、Alzheimer 型認知症を発症した 54人と VaD を発症した 27人における運動の影響をしらべたところ、VaD は運動、散歩によって発症リスクが減少していたことが示されており、適度な身体活動が望ましい | ||
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+ | 食生活との関連では、抗酸化物質(ビタミンE、C)、魚由来の脂質(脂肪性の魚摂取)は VaD に対して保護的に働く一方、揚げた魚、ホモシステイン上昇、葉酸とビタミン B1 低値は VaD のリスクを上昇させる。ただし、高ホモシステイン血症に関しては、ビタミン B 群の補充によって認知症の危険が減少することは期待出来ない | ||
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+ | 痩せと肥満がともに認知症と相関していることが明らかになっている(U-shape 現象)。特に肥満に関しては、10, | ||
- | VaD の生命予後は正常対象より不良である。Alzheimer 型認知症と比べても有意に不良との成績があるが、有意差を認めないという成績もあり一定しない。Molsa らの報告では、Alzheimer 型認知症の 14年後の生存率は 2.4%(対照 16.6%)に対し、VaD では 1.7%(対照 13.3%)であり、VaD で生命予後が不良であった。また、発症後の生存期間の平均は VaD で男性 5.1年、女性 6.7年、Alzheimer 型認知症では男性 5.0年、女性 7.8年であり、VaD の方が全般的に短い傾向にあった。これに対し、Alzheimer 型認知症のアフリカ系米国人(113名)、同じく VaD(79名)を最長 7年間経過観察したコホート研究の結果では、両群の生存率に有意さを認めなかった | + | 心房細動はさまざまな機序で認知症リスクを高める。VaD |
- | 脳卒中後の認知機能低下の予測因子として、多くの報告で年齢と脳卒中の重症度があげられている。Efficacy of nitric oxide in stroke(ENOS)試験では、1, | + | {{ : |
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