dementia:15-1
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dementia:15-1 [2025/10/06] – nonbe | dementia:15-1 [2025/10/13] (現在) – nonbe |
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===== 15-2 わが国に多い遺伝性プリオン病の種類 ===== | ===== 15-1 孤発性 Creutzfelt-Jakob病の臨床的特徴 ===== |
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<color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} わが国に多い遺伝性プリオン病の種類と特徴は何か</color> | <color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} 15-1 孤発性 Creutzfelt-Jakob病(CJD)の臨床的特徴は何か</color> |
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<color #ebf6f7>{{fa>far fa-clipboard?24}} 遺伝性プリオン病は、遺伝性 CreutzfeldtーJakob 病(CID)、Gerstmann-StrausslerーScheinker 病(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)に分類される。わが国の遺伝性プリオン病はプリオン蛋白遺伝子変異の V1801(CJD)、P102L(GSS)、E200K(CJD)、M232R(CJD)が多い。V1801、M232R はほとんどが孤発例として発症するため、診断には遺伝子検査が必須である。V1801 は高齢発症で、多くが緩徐進行性の認知症を呈する。P102L は小脳失調で発症し緩徐に進行し、E200K は古典型孤発性 CJD と同様の経過を呈する。近年、自律神経障害を主症状とするタイプが報告されている</color> | <color #ebf6f7>{{fa>far fa-clipboard?24}} 孤発性 CJD はプリオン病のうちで最も多く、約 7割を占めている。典型例は急速進行性の認知症、小脳失調、錐体路・錐体外路徴候、四肢のミオクローヌスを呈し、数ヶ月以内に無動性無言に至る経過が特徴的である</color> |
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わが国のプリオン蛋白の遺伝子変異は V1801(CJD)、P102L(GSS)、E200K(CJD)、M232R(CJD)が多く、欧米と頻度が大きく異なる。そのうち V1801 はわが国や韓国に多く、M232R や P105L(GSS)はわが国に特有である。遺伝性プリオン病は通常は常染色体優性遺伝であり、P105L では全例で家族歴を認めるが、V180I、M232R はほとんど家族内発症を認めず孤発性 CJD として発症するため、診断のためには遺伝子検査が必須である | わが国のプリオン病の発症率は人口 100万人当たり年間 1人程度で、平均年齢は 67.9 歳である。プリオン病は五類感染症に指定されており、診断した医師は診断後 7日以内に保健所に報告する必要がある。プリオン病には孤発性、遺伝性、獲得性の 3種類があり、最も多いのは、古典型孤発性 CJD である(表1)。典型例は古典型 classic と呼ばれ、急速進行性の認知症、ミオクローヌス、小脳失調、視覚異常、錐体路徴候、錐体外路症状などが出現し、平均 3〜6 ヶ月で無動性無言に至る。表2 に診断基準を示す。わが国の場合、全経過は 1〜2 年程度である。孤発性の中には比較的緩徐に進行する例もあり、緩徐進行型 CJD の中の MM2-皮質型は、失行や失語などの高次機能障害や抑うつ症状などの精神症状を呈することが多く、緩徐進行性の経過を示し、約 1〜2 年程度経過した後、歩行障害などの症状が出現する。また、MM2-視床型は不眠、自律神経障害、認知機能障害、精神症状を示し、古典型とは全く異なる経過を呈する。それらの症例は、病初期には大脳皮質基底核症候群 corticobasal syundrome(CBS)や進行性核上性麻痺 progressive supranuclear palsy(PSP)と診断されていることが報告されている。 |
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V180I は平均発症年齢が77歳と高齢で、緩徐進行性であることが多い。。認知症で発症し、脳波上周期性同期生放電 periodic synchronous dischange(PSD)が認められにくいため、Alzheimer 病との鑑別が重要となる。MRI 拡散強調画像に於いて、後頭葉や中心溝付近を除いた大脳皮質と基底核に高信号が認められ、本変異に特徴的である。髄液検査 real-time quaking-induced conversion(RT-QUIC)の陽性率は低い | 孤発性 CJD の脳の解析に於いて、プロテアーゼ抵抗性プリオン蛋白 prion protein(PrP)は、ウェスタンプロット解析により 1型と 2型に分けられる。また、PrP 遺伝子コドン 129多型(メチオニンをホモで持つ MM型、バリンをヘテロで持つ MV型、バリンをホモで持つ VV型)との組み合わせにより孤発型 CJD は MM1、MM2、MV1、MV2、VV1、VV2 の 6型に分類され、MM2型は臨床病理所見により MM2-皮質型と MM2-視床型に分けられる。MM1 型が最も頻度が高く、古典型の経過をとる。詳細は 文献 5)および 6)を参照されたい |
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P102L 変異 GSS の平均発症年齢は55歳と若く、家族歴を有することが多い事より問診が重要である。頭部 MRI では初期に変化を認めることが少ない。約90%が小脳発症で発症し、CJD の病型を呈する症例も少なくない、脳波 PSD の陽性率も低いが、RT-QUIC assay 法の陽性率は高い | {{:dementia:15-1-1.png|}} |
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E200K 変異 CJD の経過は古典型孤発性 CJD と類似しており、急速進行性である。わが国では家族歴が確認されている例は半数程度で、問診が重要である。発症年齢は58.6歳と若い。脳波上 PSD、頭部 MRI 拡張強調画像、髄液検査は効率で陽性となる | {{:dementia:15-1-2.png|}} |
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近年、自律神経障害、末梢神経障害を主症状とするタイプが報告されている | |
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詳細は文献 9)を参照していただきたい | |
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dementia/15-1.1759702709.txt.gz · 最終更新: by nonbe