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dementia:agd-2 [2025/01/27] – 作成 nonbedementia:agd-2 [2025/02/10] (現在) nonbe
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 <color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} 嗜銀顆粒性認知症の臨床的診断はどのようにして行うか</color> <color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} 嗜銀顆粒性認知症の臨床的診断はどのようにして行うか</color>
  
-<color #223a70>{{fa>far fa-clipboard?24}} </color>+<color #223a70>{{fa>far fa-clipboard?24}} 嗜銀性認知症の臨床的徳量は、① 高齢発症、② 記憶障害で発症するが、頑固、易怒性、被害妄想、性格変化、暴力行動などの行動・新症状が見られ、③ 緩徐な進行、④ コリンエステラーゼ阻害薬の効果は限定的、⑤ 左右差を伴う、迂回回を中心とする、側頭葉内側面前方の萎縮、 ⑥ volumetry における海馬傍回の萎縮の程度が Mini Mental State Examination(MMSE)に比して高い傾向 ⑦ 機能画像では、左右差を伴う側頭葉内側面の低下、⑧ 脳脊髄液バイオマーカでは、アミロイドβ(Aβ)42、タウやリン酸化タウは大部分で正常であることである</color>
  
 <color #c53d43>{{fa>fas fa-check?24}} 2C </color>  <color #c53d43>{{fa>fas fa-check?24}} 2C </color> 
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 +斎藤、村山等による、前方視的臨床縦断研究と後方視的病理横断研究を組み合わせた高齢者ブレインバンクプロジェクトから、各種の知見が得られている。高齢者連続剖検例における嗜銀顆粒の進展様式の検討より、迂回回のみのステージ1 から、側頭葉内側面を後方および前方に進展するステージ2、前頭基底部、前帯状回に及ぶステージ3 と、進展ステージが分類された。ステージ3 例では、71% に認知症、21% に軽度認知障害、8% になんらかの精神症状が認められた。加齢と共に進展ステージが上昇する傾向が見られ、嗜銀顆粒は年齢依存性老化性変化であることが示唆された。ステージ3 の症例を抽出し、側頭葉内側面前方の形態画像における萎縮、機能画像における機能低下の左右差を検討した結果、病理学的には 90.8%、CT や MRI の形態画像では 42.6%、SPECT や PET の機能画面では全例に、左右差が見られた。
  
 +Alzheimer型認知症の診断支援ソフトである VSRAD(Voxel-based Specifc Regional analyssis system for Alzzheimer's Diease)と剖検例との検討では、Z スコアが Alzheimer 型認知症では平均 2.1、嗜銀顆粒性認知症では平均 4.1 であり、平均罹病期間は前者で 5.2年、後者で 7.75年であった。剖検例からみた嗜銀顆粒性認知症の臨床徴候として、記憶障害のみならず、液怒性、頑固、嫉妬妄想などが報告されている。嗜銀顆粒性認知症では、脳脊髄液のタウ、リン酸化タウは正常が大部分で、わずかにカットオフ値を超える高値を示す例が小数存在し、Aβ42 は正常であるが、極少数に低値を示す例が存在した。また、剖検確定例の病歴の後方視的検討では、コリンエステラーゼ阻害薬の継続的な効果があったと記載された症例は見いだせなかった。以上の知見より、嗜銀顆粒性認知症の臨床的特徴は、上記「推奨」内の ① 〜 ⑧ があげられている。また、PIB-PET では Aβ の沈着を認めないことが多い。嗜銀顆粒性認知症は臨床・病理学的疾患概念であり、確定診断は剖検脳の病理学的検索によってなされるため、臨床的に確定診断する研究がすすめられている
  
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