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dementia:cbd-cognitive [2025/01/13] – 作成 nonbe | dementia:cbd-cognitive [2025/01/20] (現在) – nonbe |
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===== 10-1 大脳皮質基底核変性症の認知機能障害 ===== | ===== 10-2 大脳皮質基底核変性症の認知機能障害治療 ===== |
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<color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} 大脳皮質基底核変性症 corticobasal degeneration(CBD)の認知機能障害の特徴と検査法は何か</color> | <color #a22041>{{fa>fas fa-question?24}} </color> |
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<color #223a70>{{fa>far fa-clipboard?24}} CBD では認知機能障害がしばしば出現し、遂行機能障害、脱抑制などの行動・人格変化、視空間障害、非流暢性失語が見られる。他疾患との鑑別に有用な検査法は確立されていない</color> | <color #223a70>{{fa>far fa-clipboard?24}} 大脳基底核変性症 corticobasal degeneration(CBD)の認知機能障害に対する有効な薬物療法・非薬物療法はあるか</color> |
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<color #223a70></color> | <color #223a70> CBD の認知機能障害に対する有効性が確立された薬物療法・非薬物療法はない。大脳皮質基底核症候群 corticobasal syndrome(CBS)で背景病理が Alzheimer 病と考えられる場合は、コリンエステラーゼ阻害薬あるいは N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬を試みても良い。言語障害、行動障害、視空間障害などに対し、リハビリテーションを行うことが推奨される</color> |
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<color #c53d43>{{fa>fas fa-check?24}} D </color> | <color #c53d43>{{fa>fas fa-check?24}} 2D </color> |
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1. CBD における認知機能障害の特徴 | 1. 認知機能障害に対する薬物療法 |
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2013年の Armstrong らの CBD 臨床診断基準に示された CBD の臨床病型は、① 大脳皮質基底核症候群 corticobasal syndrome(CBS)、② 前頭葉性行動空間症候群 frontal behavioral-spatial syndrome(FBS)、③ 原発性進行性失語非流暢性/失文法型 non-fuent/agrammatic variant of primary progressive aphasia(naPPA)、④ 進行性核上性麻痺症候群 progressive supranuclear palsy syndrome(PSPS)である(表 1-A)が、それ以外に Alzheimer 型認知症の臨床像を取る例も報告されている。病理学的に診断された CBD 症例の臨床像検討では、全般性認知機能障害は診断時 52%、前景か 70% で見られ、大脳皮質徴候の中で最も頻度が高い(表 1-B)。CBD の 4つの病型の中で、FBS は遂行機能障害、脱抑制などの行動・人格変化、視空間障害を呈する。また naPPA では努力性の非流暢な発話で、発音の歪みや失文法が伴う失語を呈する。これらの症候は、認知症に至る前に出現しうる | CBD で認知機能障害に対する薬物療法で、一定程度以上のレベルをもったエビデンスのある薬剤はない。CSB では専門家の個人的見解に基づいてコリンエステラーゼ阻害薬が試みられている。NMDA 受容体拮抗薬の効果は不明である |
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Lee らは、病理学的に診断された CBD 18例の検討で、進行性非流暢性失語(5例)、行動障害型前頭側頭型認知症(5名)、遂行・運動(executive-motor)(7名)、後部皮質萎縮(1名)を停止、行動ないし認知機能の障害は 15名に認めたと報告している | 2. 行動・心理症状に対する薬物療法 |
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{{ :dementia:20250113060123.png?600 |}} | CBD の行動・心理症状に対するエビデンスは乏しい。うつにたいして選択的セロトニン再取り込み阻害薬 selective serotonin reuptake inhibitors(SSRI)である塩酸セルトラリンが有効であるかもしれない。アパシーや不安に対しては、コリンエステラーゼ阻害薬が使用されるが、難治性である |
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{{ :dementia:20250113060134.png?600 |}} | 3. 非薬物療法 |
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{{ :dementia:20250113060205.png?600 |}} | CBD の認知機能障害に対する理学療法、作業療法、言語聴覚療法については、一定程度以上のレベルを持ったエビデンスのあるものはないが、有効である可能性がある。専門家の個人的見解として、CBD のうつに対し、認知行動療法が有効な場合がある |
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2. CBD における認知機能障害の検査法 | |
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Mini Mental State Examination(MMSE)、Addenbrooke's Cognitive Examination(ACE)、Dementia Rating Scale(DRS)、Frontal Assessment Battery(FAB)、Neuropsychiatric Inventory(NPI)などが評価に使用されている。Parkinson 症候群の鑑別に高次脳機能検査が有用かについては、メタアナリシスの検討があるが、サンプルサイズが不十分で、評価が困難な状況である。 | |
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