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dementia:ftld [2024/08/19] – nonbe | dementia:ftld [2024/09/23] (現在) – [治療] nonbe | ||
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==== 歴史 ==== | ==== 歴史 ==== | ||
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+ | 前頭側頭葉変性症 frontotemnporal lobar degencratin(FTLD)は Pick 病を原形とし、主として初老期に発症し、前頭葉と側頭葉を中心とする神経細胞の変性・脱落により、著明な行動異常、精神症状、言語障害などを特徴とする進行性の非 Alzheimer 病であり、経過中に行動障害や認知機能障害以外にも、パーキンソニズムよあ運動ニューロン症状をはじめとする種々の程度の運動障害を認めうる。FTLD の概念、名称、分類には変遷があり、非 Alzheimer 型前頭葉変性症、前頭葉型認知症という用語が用いられた時代もあった | ||
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+ | ==== 臨床的分類 ==== | ||
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+ | FTLD という用語は、病理学的もしくは遺伝的に確定診断がついた症例に対して使われ、臨床診断名としては一般に前頭側頭型認知症 frontotemporal dementia(FTD)が使われるようになりつつある。わが国では指定難病名として FTLD が採用されており、統一性を図るため今回のガイドラインでは臨床診断のみの場合も含めて FTLD を採用した。 | ||
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+ | FTLD は臨床症状に基づき、前頭前野の萎縮を主体とする行動障害型前頭葉型認知症 behavioral variant frontotemporal dementia(bvFTD)、側頭極ならびに中・下側頭回などの現矯正萎縮を主体とする意味性認知症 semantic demantia(SD)、左優位で Sylvius 裂周囲の局限性萎縮を呈する進行性非流暢性失語 progressive non-fuent aphasia(PNFA)の 3型に臨床分類される(図1)。FTD という用語は、bvFTD、SD、PNFA を包括する臨床診断名として用いられている。失語症から見た分類については CQ2-6 を参照されたい | ||
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+ | また、FTLD では、経過中にパーキンソニズムや運動ニューロン症状を認めうる。運動ニューロン症状を呈した病型は運動ニューロン疾患型前頭葉型認知症 frontotemporal dementia and motor neuron disease(FTD-MND)と呼ばれる | ||
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+ | ==== 病理学的分類 ==== | ||
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+ | 病理学的には神経細胞やグリア細胞に特定のタンパク質が凝集して封入体が蓄積する。封入体の主要構成成分としてタウ蛋白、TRA DNA-binding protein of 43kD(TDP-43)蛋白、fused in sarcoma(FUS)蛋白が同定されており、病理学分類として用いられている(図2)。 | ||
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+ | タウ蛋白は微小管結合蛋白のひとつで、C 末端側に存在する微小結合領域のくり返し数により、3リピートタウ蛋白と 4リピートタウ蛋白に大別される。タウオパチーは、リン酸化タウ蛋白の異常蓄積が重要な発症機序と考えられる疾患の総称で、FTLD でタウオパチーを呈する群は FTLD-tau と呼ばれる。FTLD-tau には、主に 3リピートタウ蛋白が蓄積する例(pick 病)と 4リピート蛋白が蓄積する例(大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性認知症など)がある | ||
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+ | TDP-43 蛋白と FUS 蛋白は、主に核内に存在し、ともに転写、スプライシング、RNA の輸送や安定化などの多様な機能をもつ。FTLD では TDP-43 蛋白、FUS 蛋白共に核から消失し、細胞外で凝集している所見が観察され、それぞれ FTLDーTDP、FTLD-FUS と呼ばれる。病理に関する詳しい記載は、CQ1-8 を参照されたい | ||
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+ | ==== 臨床分類と病理学的分類との関係 ==== | ||
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+ | 図3 に示すように、bvFTD では半数異常が FTLD-TDP、PNFA では約 70% が FTLD-tau(PSP、CBD、Pick病)、SD では約 80% が FTLD-TDP との報告がある | ||
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+ | ==== 診断 ==== | ||
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+ | 診断基準は CQ8-1 を参照されたい。診断基準には MRI、CT などの構造画像、SPECT などの昨日画像を用いることも組み込まれているが、行動異常や精神症状のために画像検査が実施不可能な症例も多い点に留意すべきである | ||
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+ | ==== 家族歴 ==== | ||
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+ | 欧米では 30〜50% に認める一方、日本ではほとんど認めない。家族性の場合には、タウ遺伝子、TARDBP 遺伝子、FUS 遺伝子、プログラニュリン遺伝子などに変異が見つかっている。C9orf72遺伝子のイントロン 1 内の 6 塩基くり返し配列の異常伸長は、欧米では最も頻度の高い原因であるが、日本における頻度は極めて低い | ||
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+ | ==== 治療 ==== | ||
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+ | FTLD は進行性の変性疾患であり、自然経過を修飾できる根本的な治療方法は未開発である。病理背景を推定しうる診断方法や、客観的に進行を評価しうる指標の確立は病態抑止治療開発へ向けた課題となっている。筋萎縮や筋力低下などの運動ニューロン症状を示す場合には、呼吸不全や嚥下障害の出現に十分に留意する。パーキンソニズムを呈し、転倒を繰り返す場合もあるが、レボドバ製剤は、効果が限定的か無効であることが多い | ||
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