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- | ===== 4A-2 狡猾圧の管理、降圧薬 ===== | + | ===== 4A-2 高血圧の管理、降圧薬 ===== |
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+ | 高血圧の認知症・認知機能低下への影響は年齢によって異なる。特に中年期の高血圧は認知症や認知機能低下の危険因子であるため、認知症予防の観点から積極的な治療が推奨される | ||
+ | ベースライン時に認知症の無い成人を12年追跡した研究では、開始時に中年期(65歳未満)であった群は、老年期(65歳以上)であった群に比べ、認知機能低下スピードに対してベースライン時の高血圧の影響が大きかった。すなわち、中年期の血圧管理が認知機能への影響が強いことが示唆された | ||
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+ | 高齢期の高血圧と認知症の関係は一定しておらず、低血圧や血圧の日内変動も認知症と関連すると報告されている | ||
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+ | 全般的に降圧薬による認知症予防効果に関しては、有意な効果は見られなかったが、認知症全般や血管性認知症には予防効果が認められた | ||
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+ | ゴクランレビューでは大規模介入二重盲検試験(SHEP、Syst-Eur、SCOPE、HYVET)のメタアナリシスを行っている。解析対象は高血圧を有した高齢者で(平均75歳)、介入群とコントロール群において、血圧値は介入群で十分に下がっていた。しかし、認知症発症に関しては介入群に予防効果の傾向があるにとどまった(OR 0.89、95%CI 0.74~1.07) | ||
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+ | 計8件の大規模臨床試験のプールド・メタアナラシスでは、降圧薬使用は Alzheimer 型認知症の発症、認知機能低下に有意な抑制効果はなかった。しかし血管性認知症(RR 0.67、95%CI 0.52~0.87)と認知症全般(RR 0.87、95%CI 0.77~0.96)に対しては予防コカがあった | ||
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+ | 脳卒中既往の無い患者を対象とした降圧薬による認知症予防効果に関するランダム化比較試験 randomized controlled traial(RCT)と 11件の観察研究に基づいたメタアナリシスでは、認知症発症のリスクを 9% 有意に低下させた(HR0.91, | ||
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+ | 認知症や脳血管障害を有さない高齢者を対象とした 12件の論文に基づいたメタアナリシス(4062例)では、高血圧はエピソード記憶と全般性認知機能を有意に低下させた | ||
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+ | 老年期(65歳以上、3824例を対象)においても高血圧患者の Alzheimer 型認知症発症率は、正常者と比べ治療群で 1.43倍、未治療群で 1.93倍であり老年期高血圧も治療すべきだと報告している | ||
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+ | 一部の研究では正常高齢者、軽度認知障害ともに、降圧治療は降圧治療なしに比し、Alzheimer 型認知症移行率を有意に低減させたという報告もある。75歳以上の正常認知機能者もしくは軽度認知障害を対象にした Ginkgo Evaluation of Memory Study の二次解析として、降圧治療無し(n = 643)、ABR群(n = 140)、利尿剤(n = 351)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬 angiotensin converting enzyme inhibitor(ACE 阻害薬)(n - 324)、β ブロッカー(n = 457)のグループで各2群間比較(post-hoc analysis)が行われた。その結果、正常者では書く降圧治療群は降圧治療なし群に比べ、Alzheimer 型認知症移行率を有意に提言した。この効果は利尿薬で最も強かった。軽度認知障害者では利尿薬のみが効果的であった | ||
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+ | The Honolulu-Asia Aging Study では、認知症や認知機能障害の無い 2197例の高血圧患者男性(平均77歳)を追跡調査し、降圧薬として β ブロッカーを内服している患者では認知機能低下が進行するリスクが低下していた(incidence rate raito 0.69、95%CI 0.50~0.94) | ||
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+ | 久山町研究では、血管性認知症発症の双胎危険は、中年期から老年期の血圧上昇と共に直線的に増加している。しかし、中年期と老年期の血圧レベルと Alzheimer 型認知症発症との関連性は見いだされなかった | ||
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