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===== 著作権法の原理・原則 ―――― 著作物の利用要件 =====
==== 知的財産権と著作権についての概要 ====
知的財産権ということがよく言われる
著作権は、しばしば知的財産権と同一視される
著作権を明確にするために、知的財産権を確認
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作権は知的財産権のひとつ
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作隣接権も知的財産権のひとつ
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作権は、著作権法で詳細に定義されている
知的財産権は、知的財産基本法があり、特許庁の管轄となる
{{wasyoku:pen-ayame.svg? 18&nolink}} 知的財産制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度。「知的財産」及び「知的財産権」は、知的財産基本法において次のとおり定義されている。(特許庁サイト・知的財産権について)
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{{wasyoku:lightbulb-ayame.svg? 16&nolink}} 知的財産基本法の「知的財産」の定義
**第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創作活動により生み出されるもの(発見または解明がされた自然の法則または現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有利な技術上又は営業上の情報をいう**
**2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権、その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係わる権利をいう**
以下略
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{{wasyoku:pen-ayame.svg? 18&nolink}} 知的財産権の種類は次のふたつに大別される
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 知的創造物についての権利: 「特許権」や「著作権」などの「創作意欲」の促進が目的
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 営業上の標識についての権利: 「商標権」や「商号」などの「使用者の信用維持」が目的
{{wasyoku:pen-ayame.svg? 18&nolink}} 知的財産権の独占権の違いは次のふたつに大別される
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 絶対的独占権: 特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権については、客観的内容を同じくする者に対して、排他的に支配できる
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 相対的独占権: 著作権、回路配置利用権、商号及び不正競争法上の利益については、他人が独自に創作したものには及ばない
知的財産権には、精神文化的なものとして「著作権」(著作隣接権)、物質文化的なものとして「産業財産権」または「工業財産権」(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、その他とする分け方もある
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==== 著作権と著作財産権 ====
著作権を調べていくと「著作財産権」という言葉が出てくる
あえて「財産権」と規定されているには理由があり、違いがあるはず
{{wasyoku:lightbulb-ayame.svg? 16&nolink}} 公益社団法人著作権情報センター: CRIC「著作権にはどんな権利がある?」の解説
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作者の権利は、人格的な利益を保護する著作人格権と財産的な利益を保護する著作県(財産権)のふたつに分かれる
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作人格権は、著作者だけが持っている権利で、譲渡したり、相続することはできない(一身専属)。この権利は著作者の死亡により原則的は正目ついするが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっている
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 財産的な意味の著作権は、その一部又は全部を譲渡したり相続したりできる。そうした場合の権利者(著作権者)は著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになる
{{wasyoku:note-ayame.svg? 16&nolink}} 参照条文: 著作権法第十七条、第五十九条〜第六十一条
著作権の権利としては、著作者人格権と著作財産権のふたつがある
著作者人格権には、「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」(自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利)がある
著作財産権には、「複製権」「上演権」「上映権」「公衆送信権」「口述権」「展示権」「頒布権」「譲渡権」「貸与権」「翻訳権・翻案権」「二次的著作物の利用権」などがあるとされる
著作権者とは、著作物の著作権を有する者のこと
個人の場合も法人の場合もある
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 通常は、著作者が著作権者となるが、著作権は譲渡ができるので、著作権の所有者が著作者とは別人(法人・個人)の場合もあることに注意が必要
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 著作物(原作品)が売買されても、著作権は元の著作権者に帰属する
{{svg:bookmark-red.svg? 16&nolink}} 著作物の購入者(所有者)は、私的使用の範囲を超えた複製等は著作権侵害になる
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==== 著作権と著作物、著作人 ====
著作権法第二条に、著作物や著作者、そして、実演、レコード・・・プログラム、データベースなどの用語の定義が書かれている
**一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう**
**二 著作者 著作物を創作するものをいう**
著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」とされる
具体的には、著作権法(著作物の例示)に規定されている
**第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次の通りである**
**一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物※(2項に言及)**
**二 音楽の著作物**
**三 舞踊又は無言劇の著作物**
**四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物**
**五 建築の著作物**
**六 地図又は学術的な性質を有する図画、図表、模型その他の図形の著作物**
**七 映画の著作物**
**八 写真の著作物**
**九 プログラムの著作物※(3項に言及)**
著作物とは何かを指すについての基本
著作物の定義(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう)は、条文から 4つに分けて示される
1)「思想又は感情」があること
2)「創作的」であること、画一的では無く、個性的で創造的であること
3)「表現」つまり具体的なものになっていること(心の中でのアイデアは表現とはされない)
4)「文芸、学術、美術又は音楽」であること
著作権法第十条には、2項と3項のつづきがある
**2 事実の伝達にすぎない情報及び時事の報道は、前項第一号に揚げる著作物に該当しない**
**3 第一項第九号に揚げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号の定めるところによる**
**一 プログラム言語 プログラムを表現する手段しての文字その他の記号及びその体系をいう**
**二 規約 特定のプログラムにおける全郷のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう**
**三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組み合わせの方法を言う**
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==== 二次著作物と編集著作物 ====
{{wasyoku:lightbulb-ayame.svg? 16&nolink}} 著作権法第二条十一号 二次的著作物
**十一 二次著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう**
翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、翻案したもの
これらは二次著作物として保護されるが、原著作者の著作権が影響を受けることはない
**第十一条 二次著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない**
原著作者の著作権はそのままに、編集著作物やデータベース著作物は二次著作物と同じ
**第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する**
**2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない**
**第十二条の二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する**
**2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない**
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==== 著作権法の保護を受ける著作物の要件 ====
著作権法の保護を受ける著作物の原則的条件
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 日本人の著作物
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} 日本で発行されたもの
実演やレコード、放送、有線放送などにも同様の規定があり、それぞれはさらに詳細な規定がされている
**第六条 著作物は、次のいずれかに該当するものに限り、この法律の保護を受ける**
**一 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ)の著作物**
**二 最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む)**
**三 前二号に揚げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物**
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==== 著作物保護の対象とならない、権利の目的とならない著作物 ====
人や団体組織が著したものであっても、「思想又は感情」が表現されたものという著作物の定義を満たさないものは、著作権保護の対象ではないので、だれでも自由に利用できるコンテンツとなる
憲法や法令条文、国や地方公共団体の告示や通達、裁判所の判決等は、著作権がない。
原則としてだれでも自由に利用できる
{{wasyoku:check-akane.svg? 16&nolink}} ただし「転載を禁止する旨」の表示がある場合は、許諾を得る必要がある
**第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定により権利の目的となることができない**
**一 憲法その他の法令**
**二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これに類するもの**
**三 裁判所の判決、決定、命令及び審判ならびに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続きにより行われるもの**
**四 前三号に上げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立法人又は地方独立行政法人が作成するもの**
著作権法が定義する著作物の要件は「思想又は感情」が表現されたもの
人が書いたものが何でも著作権になるわけではない
TOPCOURT Law firm のサイトには、著作物とはなれない場合が具体的に示されている
{{svg:bookmark-red.svg? 16&nolink}} 以下のようなものは著作権を主張出来る著作物にあたらない
1)日常の慣用語、社交辞令など
2)歴史上の事実やデータ
3)事実の伝達に過ぎない時事報道など
4)プログラム言語やアルゴリズム
5)法律、通達、裁判所の判決など
6)著作者が死後70年を経過した著作物
7)公表後(公表されなかった場合は創作後)70年を経過した映画の著作物
8)発想、考え、着想、見解、思い付き、概念、想像: 言葉や絵画、音楽などの形態で表現されていない場合(講演会で講演された場合は、講演著作物となる)
9)実用品のデザインなど: 実用的なデザインの保護については意匠権という制度がある
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==== 事実の伝達に過ぎない雑報及び時事の報道は、著作権保護の対象外 ====
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{{wasyoku:pen-ayame.svg? 18&nolink}} ****
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