===== 16-3 神経梅毒 ===== {{fa>fas fa-question?24}} 16-3 神経梅毒による認知機能低下の特徴は何か {{fa>far fa-clipboard?24}} 神経梅毒は梅毒トレポネーマ T.pallidum による神経感染症である。初感染後、神経系への浸潤を来たし、感染後 15〜20年以上経過してから発症する。晩期梅毒に於いては、長期間の慢性髄膜炎と脳実質への浸潤・炎症の結果として生じ、認知症を呈する進行麻痺や後索・後根の障害による脊髄癆が見られる。認知症症状としては見当識障害、記銘力障害、判断力低下などのほか、幻覚・妄想・易怒性・けいれんなどを呈する ---- 梅毒は性交や血液を介した感染後、時に中枢神経系への浸潤を来たし、初感染後 15〜20年以上経過してから認知症を呈する進行麻痺を来す。慢性的な髄膜炎や脳実質への浸潤・炎症波及の結果として生じる進行麻痺に於いては、認知症の症状として、見当識や記銘力障害、判断力や計算力の低下に加え、反社会的な言動や異常行動、または幻覚や妄想、抑うつ、精神病症状といった精神症状を呈することが知られ、多彩な症状を示すが特に神経梅毒に特徴的な症状はない。そのため、認知症の鑑別として神経梅毒は常にあげられる。臨床診断は血清の非トレポネーマ試験(VDRL および PRP)や梅毒特異抗原(TPHA)、および髄液検査(髄液中の TPHA、FTA-ABS)を行い診断する。進行麻痺における実質型神経梅毒の脳 MRI などの画像所見では、前頭葉や側頭葉を中心とする脳委縮や白質高信号などが見られる事が多いが、いずれも非特異的所見であり画像のみからの診断は困難である。また神経梅毒では辺縁系脳炎に類似した画像・経過を示す例が報告されている 治療はペニシリン G 1,800〜2,400万単位/日 を持続的静注または 4時間毎の点滴静注にて、10〜14日間点滴するが、改善が余り見られず後遺症が残存する例も見られる 詳細は「性感染症診断・治療ガイドライン」を参照されたい。 ---- {{fa>fas fa-sign-out?24}} [[https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html|認知症疾患診療ガイドライン]] {{fa>mail-reply?16}} [[dementia:mie|内科疾患]]