{{fa>fas fa-id-card?36}} ===== 3C-12 便秘の対応 ===== {{fa>fas fa-question?24}} 便秘の対応はどのように行うのか {{fa>far fa-clipboard?24}} 便秘は認知症者に頻度の高い疾患であり、生活の質 quality of life(QOL)を阻害しせん妄の原因となることもある。器質性疾患の観月を行い、食事(食物繊維の多いもの)、運動で改善しない場合は、下剤を使用する {{fa>fas fa-check?24}} **2C** ---- 高齢者では薬剤の副作用、活動量低下、排便反射鈍麻などにより、若年者と比較し男性約8倍、女性で約3倍便秘になりやすい。認知症の場合、便秘があっても症状がわかりにくく、訴えることも少ない。便秘は認知症者の QOL を阻害し、易怒性を出現させたり、食欲低下を起こし、さらにせん妄へと至る場合もある。認証病型別の便秘の合併率は、対象 2% に比べ、Parkinson 病に伴う認知症 43%、Lewy 正体病 28%、血管性認知症 26% と多く、Alzheimer 型認知症は 3% と有意差はないという報告がある 加齢により、骨盤底筋群の劣化や自律神経障害、大腸壁の異常によって便秘が起きやすくなる。便秘は機能性(弛緩性、けいれん性、直腸性)、器質性、症候性(糖尿病や脳血管障害など)、薬剤性に分類される。最も多いのが機能性便秘に分類される弛緩性便秘である。器質性便秘は大腸癌や瘢痕などによって起こる。薬剤性便秘の原因として抗コリン剤、抗うつ薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗ヒスタミン薬、利尿薬、オピオイドなどがあげられ、高齢者で使用することが多い薬剤でもある。嘔気・嘔吐、腹満、排便・排ガスの停止はイレウスを疑う。便の口径の変化、便潜血陽性、血便、鉄欠乏性貧血、体重減少がある場合は、器質性便秘を疑う徴候である。器質性便秘や症候性便秘では原疾患の精査・治療を行う。薬剤性であれば、可能な限り減量あるいは中止する 上記を除外した上で、機能性便秘と判断し、生活・食事療法などの非薬物療法を行う。① 食物繊維の多い食事、② 規則正しい食生活と排便習慣、③ 歩行運動を奨励する。けいれん性ではストレスの除去が肝要で、弛緩性では硬便になるための水分量摂取を勧め、ビタミン B1、B2 などの水溶性ビタミン摂取や、ビフィズス菌の増殖をウナガウ。ただし、高齢者に於ける食事療法、サプリメント、生活習慣による便秘改善効果のエビデンスは認められていない。以上の方法で改善しない場合は薬物療法を行う。下剤には浸透圧性下剤(酸化マグネシウム)、大腸刺激性下剤(センナ、センノシド、ダイオウ、ピコスルファートナトリウムなど)、腸管内に水分分泌を促すクロライドチャネルアクティベータ(ルビプロストロン)、大建中湯坐薬、浣腸があり、排便回数や便の性状に合わせて選択する 浣腸は多く使用されているが、穿孔や高リン血症、敗血症などの合併症が高齢者では特に起こりやすく、慎重に使用する必要がある ---- {{fa>fas fa-sign-out?24}} [[https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html|認知症疾患診療ガイドライン]] {{fa>mail-reply?16}} [[treatment|治療]]