16-4 肝性脳症

16-4 肝性脳症による認知機能低下の特徴は何か

肝性脳症(HE)では注意力、情報処理能力、視運動協調が想起から障害されやすく、パーキンソニズムや舞踏病様運動などの局所神経徴候を伴うことがある


HE は急性または慢性の肝機能不全に起因する新精神症候の一群であり、肝細胞障害や門脈体循環シャントによってアンモニアなどの中毒性物質が肝臓で解毒されずに体循環をめぐることによって発症すると考えられている。特に、先天性、あるいは重度の肝疾患による後天性肝機能障害の患者では門脈循環シャントが生じやすい

近年では、① 認知機能障害の無い状態(unimpaired)、② 急性発作性 HE を含む不安定な状態(unstable)、③ 慢性的に認知機能障害が持続する状態(stable)の各ステージを流動的に往き来すると考えられている(図1,2)。各ステージにおける重症度の判定は、意識レベル、知的機能と行動、神経徴候の 3項目によってステージ 0 からステージ 5 の 5 段階に分類する(表1)

急性発作性 HE は急性の錯乱状態を指し、重症例では昏睡まで至る。消化管出血や便秘、感染などの明らかな誘因を伴う場合と、特に誘因無くシャント血流が増大することによって発症する場合がある。脳 MRI では T1 強調画像や find-attenuated inversion recovery(FLAIR)画像で視床、内包後脚、脳室周囲の白質が高信号を呈することが報告されている。

潜在性 HE は、標準的な神経観察では明らかな異常が無く、神経性新評価の海以上を捉えられる状態を指し、注意力や情報処理能力の低下、アス手リンクス、視運動強調の障害を呈する。自動車事故の危険性などが著しく増大すると言われ、肝硬変患者のおよそ 55% がこの状態にあると指摘されている。

慢性的に認知機能障害が持続する状態でも、症状が進行するとパーキンソニズムや舞踏様運動、脊髄症などの運動症状まで呈するようになる


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