睡眠時無呼吸症候群は認知機能を悪化させるか
睡眠時無呼吸症候群は、血管性危険因子でもある認知機能低下とも関連がある。持続的陽圧呼吸による治療はこれらの認知機能の低下を改善する
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多くの観察研究において、睡眠時無呼吸症候群および睡眠時呼吸障害が血管性危険因子であるとともに認知機能低下に影響を与えることが示されている。また、睡眠時無呼吸症候群の治療として用いられている次億的陽圧呼吸療法が、認知機能の改善に寄与することが期待される一方、重症度と治療効果の関連s婦負には不明な部分が多い
Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiaivle(ADNI)研究の報告では、睡眠時無呼吸症候群がある場合、軽度認知障害やAlzheimer 型認知症の発症が速くなり、持続的陽圧呼吸による治療が認知症の進行を遅らせることが示されている
睡眠時無呼吸症候群が認知機能に影響を与えることを示唆する研究報告のメタレビューでは、注意力、長期の視覚性・言語記憶、視空間認知機能、遂行機能障害などと関連するが、言語機能や精神運動機能には影響しないことが示されている。老年女性においては、睡眠時間の短縮や睡眠中の低酸素化、睡眠時無呼吸によって認知機能低下の発症リスクが増加するという報告がある。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の軽度の認知機能低下を検出するには、Mini Mental State Examination(MMSE)よりも Monteral Cognitive Assessment(MoCA)のほうが鋭敏であった
持続的陽圧呼吸による治療はこれら認知機能低下を改善することが、複数の観察研究やランダム化比較試験 randomized controlled trial(RCT)で報告されている
一方では、地域在住の健常高齢者の睡眠時の定酸素化と認知機能の低下には軽度の関連があるのみという報告や、重症の睡眠関連呼吸障害 sleep-related breathing disorders(SRBD)のみ、認知機能にわずかな影響を与えるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が軽度の場合は、認知機能低下と密接に相関していないことが推測される