大脳基底核変性症 corticobasal degeneration(CBD)は、1968年に Rebeiz らにより臨床病理学的に独立した疾患として報告された。病理学的には前頭頭頂葉に強い非対称性の大脳皮質萎縮を示し、基底核と黒質の変性を伴い、組織学的には神経細胞及びグリア細胞内に異常リン酸化タウが蓄積する。星状膠細胞斑 astrocytc plaque が特徴的な所見で、進行性核上皮麻痺 progressive supranuclear palsy(PSP)と同様に 4-repeat tauopathy(4RT)に分類される
CBD の典型的な臨床像は、進行性かつ非対称性の失行をはじめとする大脳皮質徴候と筋強剛をはじめとする錐体外路徴候を中核とし、現在は大脳皮質基底核症候群 corticobasal syndrome(CBS)と呼ばれている。その後、剖検例の集積により、左右差の無い、PSP の臨床像を取る例、Alzheimer 型認知症、前頭側頭型認知症など認知症が前景に断つ例など非典型例が数多く報告され、CBD の臨床像は極めて多彩である事が明らかになった。一方で、CBS の背景疾患としては、CBD は半数弱で、PSP、Alzheimer 病など様々であり、臨床診断と病理診断が乖離する例が数多く存在する。そのため最近では病理診断名として CBD を用い、CBD の典型的な臨床症候を示す臨床診断名として CBS が用いられるようになっている
Armstrong らの診断基準(2013)では、Brain Bank および病理診断された 5例以上の文献例から、CBD の臨床症候を検討し、CBD 病理と関連する 4つの臨床病型を提案している(CQ10-1: 表 1A)、さらにこれら臨床病型を他の必須項目と組み合わせ、純粋に CBD に該当するような probable sporadic CBD、および CBD 以外の tauopathy も含まれるような possible CBD の 2つが提案s慣れた(CQ10-2: 表 1C)、しかしその後の検証により、感度は従来の診断基準と変わらず、さらに特異度も高くないことが示され、今後感度・特異度の高い臨床診断基準或いはバイオマーカーの探索が課題である。CBD の確定診断は病理診断である
10-1 大脳皮質基底核変性症の認知機能障害
10-2 大脳皮質基底核変性症の認知機能障害治療