コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA 受容体拮抗薬の有害事象とそれに対する対応はどのように行うか
コリンエステラーゼ阻害薬の有害事象で頻度の高いものは、嘔気・嘔吐、下痢などの消化器症状である。
NMDA 受容体拮抗薬の頻度の高い副作用は、傾眠、めまい、便秘、頭痛などである。
これらの有害事象の治療の原則は、該当する薬剤の減量・中止である。
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Alzheimer 型認知症治療薬の重大な有害事象としては、コリンエステラーゼ阻害薬では、失神や徐脈、QT 延長などの循環器系の副作用が報告されている。NMDA 受容体拮抗薬であるメマンチンの重大な有害事象としては、失神、精神症状などが報告されている。
コリンエステラーゼ阻害薬は、下痢や嘔気・嘔吐などの消化器系の有害事象や頭痛の頻度が高い。消化器症状は、投与開始時、増量時に出現しやすく、高用量ほど発言割合が高い。コリンエステラーゼ阻害薬投与下では。コントロール群と比較して失神、骨折、不慮の怪我、徐脈、ペースメーカー挿入の発生率が高くなることを示されている。リバスチグミンパッチは、経皮吸収型製剤のため血中濃度が安定しやすく、同罪の経口投与製剤と比較して消化器症状の出現頻度は低いが、貼付部位の皮膚反応が生じる事がある。
メマンチンの比較的頻度の高い副作用として、めまい、傾眠、頭痛、便秘などが報告されているが、プラセボとの有意差は認めなかったとするメタ解析もある。
疾患により、出現しやすい有害事象の頻度が異なる為、注意を要する。副作用の詳細については、各薬剤の添付文書を確認すること。
副作用への対処方法のエビデンスは乏しい。消化器症状に対しては、ドンペリドンが有効な場合もある。リバスチグミンパッチ貼付部位の炎症を予防するためには、保湿剤を使用する。炎症が持続する場合には、ステロイド外用薬の使用を検討する。
上記を含め、いずれの場合も、有害事象が重篤な場合には、原因薬剤の減量・中止を検討する。
過剰服薬や誤投与による急性中毒の治療に関するエビデンスは乏しい。急性中毒の場合には、時に死亡にいたる場合もあり、注意を要する。