認知症集中支援チームの機能と役割は何か
今後の認知症の医療とケアは、早期支援機能と危機回避支援機能を整備し、危機の発生を防ぐ早期・慈善的な対応に基本を置く事が求められる。この機能の担い手として期待されるのが、認知症初期集中支援チームである。専門家チームが訪問し、地域での生活が維持出来るような支援を、早い段階で包括的に提供する。2012年度~モデル事業が開始され、2017年度末までには全市区町村での活動開始が求められている
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認知症初期集中支援チームは、専門家集団が訪問して、地域での生活が維持出来るような支援を、できる限り早い段階で包括的に提供する事を使命としている。この場合の「初期」とは必ずしも疾患の初期段階という意味では無く、初動 first touch を意味しており、「集中」は認知症の人およびその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などを包括的・集中的(おおむね 6ヶ月)に行い、自立生活のサポートを行った上で本来の医療やケアチームに引き継いでいくことを意味している。関与すべき対象者は医療サービス・介護サービスを受けていない者、または中断している者で、① 認知症疾患の臨床診断を受けていない、② 継続的な医療サービスを受けていない、③ 適切な介護保険サービスに結びついていない、④ 診断されたが介護サービスが中断している者と、医療サービス・介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状 behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD)により対応に苦慮している事例である
2013年度は全国14個所、2014年度は全国41個所でモデル事業が行われた。その結果から訪問支援対象者は一元的に地域包括支援センターを通して把握されるが、把握ルートの内容は家族・本人からの相談が 50% にのぼり、都自社が相談窓口を求めていたことが示された。またこのチームが介入した後も尚、85〜90% が在宅生活を継続出来ており、このことはこのチームが困難事例を単に入院、入所させて問題を解決しているのでは無いことを示している。さらに2014年度調査では介護負担尺度の改善も示されている。2015年度からは地域支援事業として可能な全国市区町村で開始予定であり、2017年度末までに全市区町村で開始されることになっている。今回の結果からは、認知症初期集中支援チームが、認知症の人の在宅生活の継続に有用であり、地域ケア全体の向上につながる試みとして期待出来るが、開始されたばかりの事業であり課題を含め今後検証していく必要がある