3C-10 浮腫の対応

浮腫の対応はどのように行うか

長期臥床による不動や低栄養への対処のほか、基礎疾患の治療、皮膚の感染症や褥瘡などの合併症の治療によって対処する。抑肝散や抗精神病薬などによる薬剤性浮腫の可能性に留意し、適宜原因薬剤の中止や減量を検討する

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高齢者でよくみる浮腫をきたす疾患には、① 全身性浮腫として、うっ血性心不全、腎性、肝性、甲状腺機能低下などがあり、② 局所性浮腫として、脳血管障害、深部静脈血栓、変形性膝関節症、悪性腫瘍などがあげられる。加齢に伴い、毛細血管内圧の易変動制、間質成分の変化と組織圧の低下、血清アルブミン低下による血漿浸透圧の低下、毛細血管透過性の亢進のため浮腫が発生しやすくなる。

認知症やに置いては、抑肝散や抗精神病薬などによる薬剤性浮腫の可能性に留意し、適宜、原因薬剤の中止や減量を検討する必要がある。抑肝散を 6ヶ月以上処方されている 163症例を対象に抑肝散長期投与における安定性・有効性を検討した観察研究によると、浮腫は10.8% に出現、多くは治療を要さず抑肝散中止により回復した。

浮腫の治療は、原因診断による基礎信管の治療と共に、皮膚の感染や褥瘡などの合併症治療を行う。特に高齢者においては、浮腫軽減に極度の塩分制限や飲水制限を行う事は、高齢者の水・ナトリウム保持能低下からみて、急速な血管内脱水をきたしやすい。利尿薬を使用する時には、体重をモニターし、緩徐に水分が減少するようにする。また、利尿薬により低血圧や高ナトリウム血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症など電解質のバランスを崩しやすいため、血中電解質濃度や尿中電解質排泄量をきめ細かくチェックする。


認知症疾患診療ガイドライン

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