認知症の診断と鑑別はどのように行うか
認知症の臨床診断は病歴聴取と身体的および神経学的診察が重要であり、認知症の有無、症状、重症度を包括的に把握する様に努める
認知機能検査、形態画像検査(CT または MRI)、脳機能画像検査、血液・脳脊髄液検査などを行い、認知症の病型診断を行う
この過程で、治療可能な認知症を見逃さないように努め、せん妄、うつ病、薬剤誘発性認知機能障害を除外する
認知症は「獲得した複数の認知・精神機能が、意識障害によらないで日常生活や社会生活に支障をきたすほど持続的に障害された状態」とまとめられる
認知症の診断は 2つのステップを要する
まず、認知症であるか否か、すなわち後天的かつ慢性の認知機能障害により日常生活が障害されていることを包括的に確認する
この過程では、問診と認知機能検査を行う
認知症の定義および診断基準としては、国際疾病分類第十版(ICD-10)、精神疾患の診断・統計マニュアル第五版(DSM-5)、米国国立老化研究所/Alzheimer 病教会ワークグループ National Institute on Aging-Alzheimer's Association workgroup(NIA-AA)基準がある
認知症の基準を満たさない状態と判断s慣れても、背景に存在する認知機能障害から軽度認知障害の範疇に入ると考えられる場合もある
次のステップは、認知症の基礎疾患を見極める過程である
この過程では、身体所見、神経学的診察、画像検査、血液・脳脊髄液検査など各種検査を必要に応じて行う
治療可能な認知症を見逃さないために、認知症と診断した場合には、頭部 CT もしくは頭部 MRI の形態画像検査を実施することが望ましい
血液、血液生化学、甲状腺ホルモン、電解質、空腹時血糖、ビタミン B12、葉酸の測定が推奨される
血液梅毒検査とヒト免疫機能不全ウイルス human immunodeficiency virus(HIV)検査は、病歴上、診断が疑われる場合に実施する
脳脊髄液は非典型病型など鑑別が困難な症例に実施することが推奨される
若年性認知症の鑑別診断は多岐にわたるため、専門医に紹介することを考慮する
認知症学会が作成した認知症診断フローチャート(2008年)、前回の本ガイドライン(2010年)に掲載されたフローチャートを改訂した認知症診断フローチャートを 図1 に示した