運動は認知症予防に有効か
多くの観察研究により、定期的な身体活動は認知症や Alzheimer 型認知症の発症率の低下と関連すると報告されている。認知症のない高齢者や軽度認知障害を呈する高齢者に対する身体活動の介入試験では、認知機能低下を抑制したという報告があり、運動を積極的に取り入れる事が推奨される
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中高齢者の歩行のスピードの低下や握力の低下は認知機能低下に関連している。観察研究のメタアナリシスにより、中高齢期の身体活動や運動習慣の保有は、認知症や Alzheimer 型認知症の発症率低下との関連性が示されている
身体活動や運動習慣の介入による調査は小規模な報告が多いが、認知症の無い高齢者に対する身体活動の介入は注意や判断力の改善をもたらしたメタアナリシスの結果が報告されている。軽度認知障害か Mini Mental State Examination(MMSE)が 24〜28 点の 65歳以上の高齢者に対する 14 のランダム化比較試験 randomized controlled trial(RCT)の 1,695 人を対象としたメタアナリシスでは、運動介入により言語流暢性の有意な改善が認められたが、遂行機能、記憶、情報処理においては有意な改善は認めていない。日本人の軽度認知障害を呈する高齢者を対象とした RCT において、身体運動と注意や記憶を刺激する認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせたコグニサイズを行った結果、論理的記憶や MMSE 得点の改善や海馬萎縮の進行の抑制が確認されている。少数例での検討であるが、運動介入はすでに発症した Alzheimer 型認知症者の認知機能を改善する効果も報告されている