認知症の非薬物療法にはどのようなものがあるか
認知症者に対する介入には、認知機能訓練、認知刺激、運動療法、回想法、音楽療法、日常生活動作 activities of living(ADL)訓練などがある
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認知症治療のうち、薬物療法以外は、非薬物療法として一括される。非薬物療法も、認知機能障害のみならず認知症の行動・心理症状 behavioral and pychological symptoms of dementia(BPSD)、日常生活機能の改善を目指すものである。代表的な認知症の非薬物療法は、表1 のようなものがある。代表的なものを表2に、認知症者のケアについて表3に概説した。認知症の非薬物療法は、認知症者に対する介入と介護者に対する介入に大別されるが、実際には、認知症者と介護者への介入を組み合わせて行う。
非薬物療法は、精神症状や行動障害を緩和することだけを目的に行われるわけでは無いことに注意すべきである。例えば、音楽療法、回想法といった手段は認知症者と積極的にコミュニケーションをとり、ともに生活していくための関わりの手段としての意義も大きい。そのため、これらの取り組みの妥当性や重要性は精神症状を改善するか否かの側面だけでは判断出来ない。臨床場面では患者の生活の質 quality of life(QOL)や域外を維持する目的も含めて介入方法を考える必要がある。
介護者もまた、ケアされるべき存在である。介護者に対する適切な介入は、燃え尽きなどに対して予防的に働く。介護者に対する構造化された心理教育(知識の学習、コミュニケーションスキル、行動マネジメント、認知行動療法などの組み合わせ)は、介護者の燃え尽きやうつを軽減させることが示されている。