Alzheimer 型認知症の非薬物療法の効果は
非薬物療法の治療効果は、患者の思考や実施者の力量に大きく左右されるため、治療法の優劣を決める事に意味は乏しい。患者が進んで参加出来ることが大切であり、必要に応じて複合的に行われることが望ましい
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非薬物療法は、認知庁の行動・心理症状 behavioral and psychological symprtoms of dementia(BPSD)の治療に際しては、薬物療法に優先して考慮され実施されるべきである。ただ、非薬物療法であっても、特に認知に焦点を当てたアプロートは、ネガティブな影響を引き起こす可能性があることに留意しておかなければならない。Alzheimer 型認知症での有効性に関する高いレベルのエビデンスは、今後の課題で有る。なお、認知症全般に対する非薬物療法については CQ3A-7-1、2、CQ$C-1 を、BPSD に対する非薬物療法の効果につちえは CQ3B-1〜7 を参照されたい
1. 認知に焦点をあてたアプローチ
reality orientation(RO)は、患者に対し正しい日時や場所、人物などの情報をくり返し教示することで、現実見当識を高めようとする、認知に焦点をあてた介入である。最近のレビューでは、集団で行われる定型 RO は、認知刺激(療法)に属するものとして扱われることも多い
認知刺激(療法)は、元来 RO から発展してきたものだが、集団で行う活動や話し合いに参加することで、認知機能や社会機能を全般的に強化使用とする知慮法であり種々雑多なものが含まれている。Alzheimer 型認知症に対する効果については、認知機能に対して一定の効果が期待出来るとされるが、エビデンスレベルはまだ高くない
認知機能訓練(認知トレーニング)と認知リハビリテーション(認知リハ)の意味する内容については CQ3A-7-1 を参照されたい。ただ、これらの用語は、厳密な区別がされずに使用されることが多いため、注意が必要である
認知症患者に対する認知トレーニング 11研究(ランダム化比較試験 randomized controlled trial(RCT))のメタアナリシスでは、有意な効果は認められていない。Alzheimer 型認知症で、全般的認知機能に有益とするメタアナリシスもあるが、各研究の室の問題及び研究間の異質性が高いため、解析の妥当性には疑問が残る。また、認知リハの RCT 研究では、自覚症状や手段的日常生活動作 instrumental activities of daily living(IADL)に有効とする報告もあるが、症例は少なく、エビデンスレベルは低い
2. 認知以外に焦点をあてたアプローチ
回想法は、認知症者が過去を回想し、周囲が受容的・共感的に傾聴することで、人生の再評価を促し自尊心の向上を図る治療法である。Alzheimer 型認知症を対象とした RCT は少なく、有効性の有無を確言することは現時点では困難である
運動療法は、Alzheimer 型認知症者における身体機能や日常生活動作 activities of daily living(ADL)の増悪を軽減する。また、認知機能の低下をより緩徐にする可能性も指摘されている。ただ、研究間の異質性が大きいことには注意が必要である
音楽療法は、心身の健康のために音楽を治療法として応用することと定義される。不安をはじめとする BPSD 改善にいくらか有効とされるが、研究の質および研究間の異質性の問題があるため、現時点でのエビデンスレベルは低い
光療法に関しては、Alzheimer 型認知症の睡眠障害に対して有効な値用法とあれるが、質の高い研究は未だ少なく、報告間の異質性も大きいため、解釈には身長を要する