軽度認知障害 mild cogunitive impairment(MCI)から認知症への進行を予防する方法はあるか
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの管理、適度な運動を続けることなどが推奨される。軽度認知障害者において、認知症への進行予防を目的として抗認知症薬を使用すべきであるとする十分な根拠は無い
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軽度認知障害から認知症への進行を予防する方法としては、薬物療法、非薬物療法、危険因子への介入などが考えられる
薬物療法としては、コリンエステラーゼ阻害薬の認知機能改善効果は軽度認知障害の患者においても確認されているが、軽度認知障害から認知症への進行を抑制する効果は明らかではない。Russ らおよび Tricco らによるシステマティックレビューとメタアナリシスにおいても、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンが軽度認知障害者の認知機能障害の進行を抑制する効果は明らかではない。軽度認知障害者と Alzheimer 型認知症者を合計した群に於けるコリンエステラーゼ阻害薬が全脳委縮を抑制する可能性を示唆するメタアナリシスがあるが、軽度認知障害者のみの群では抑制効果は有意では無い。エストロゲン療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、イチョウ葉エキス Ginkgo biloba、ビタミン E などが試みられているが、いずれも軽度認知障害から認知症への進行を予防する効果は確認出来ていない
非薬物療法としては、適度な身体活動、有酸素運動、地中海式ダイエット、ココア、禁煙などで有効性が示唆されているが、少数例を対象とした研究がほとんどで、十分なエビデンスはない。65歳以上の軽度認知障害者 160人を 2群に分けて認知活動(cognitive activity)の効果を 2年間追跡した Promoting Healthy Aging widh Cognitive Exercise(PACE)study では、quality of life(QOL)の改善効果を認めたものの認知機能低下を抑制する効果は確認出来なかった。認知リハビリテーションもしくは認知機能訓練が認知機能の 維持向上に有効であることを示唆する複数の研究があるが、介入方法や評価方法を標準化するためにさらなる介入研究が必要である(4A 参照)
血管性認知症のみならず Alzheimer 型認知症においても、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)および脳血管障害の既往が、軽度認知障害から人超への進行を促進する危険因子であることが明らかになっている。これらの危険因子をコントロールすることで認知症への進行を予防出来るエビデンスはまだ十分ではないが、こうした危険因子を有する患者においては、それらを適切に管理することが推奨さっる(4A 参照)