認知症の薬物療法にはどのような治療の手順があるか
認知症者に対する薬物療法を開始するときには、その必要性を十分に検討する。薬物療法が必要な場合には、服薬アドヒアランスや薬剤の適応症を確認し、患者や介護者に十分な説明を行った上で開始する。
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高齢者は、すでに他の身体疾患などを抱えているため、多剤が併用されている場合がある。認知症に対する薬物療法も、その必要性を十分に検討し、必要性があると判断出される場合に開始する。
薬物療法の導入に当たっては、認知症者本人でも理解しやすい表現で、薬物療法の一般的な利益・不利益に関する説明を行い、本人の意志も尊重されるように配慮すべきである。それでもなお、本人の意志が確認出来ない場合や、判断能力に欠く場合には、家族などの代諾者に説明と同意を得る。
認知症者は、その認知機能障害故に比較的初期から服薬管理が困難になる。服薬管理ができない事で、意図せぬ過剰投与などの事故も起こり得る。認知症者に対する投薬は、内服回数を極力少なくする、一包化するなどの単純化や、服薬管理ボックスなどを利用して服薬管理を視覚化し、本人と介護者が共有できる環境整備が必要である。認知症の重症度によっては、介護者が全面的に管理を行う必要がある。このような準備を行い、アドヒアランスが両行に貯めてる環境であることを確認した上で、薬物療法を開始することが好ましい。
認知症の如何なるステージでも、認知症の行動・心理状況 behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD)は出現しうる。認知機能障害に対する薬ぶる両方と並行し、随時 BPSD に対する治療(非薬物療法・薬物療法)を行う。原疾患に伴う神経症状、高齢者特有の合併症(せん妄、嚥下障害、転倒・骨折、肺炎、排尿障害、便秘など)や、身体合併症(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の治療も平行して行う。
いずれの薬物療法に際しても、有害事象には十分留意し、有害事象を認め場合には速やかに薬物の変更または中止を検討する。