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認知症の quality of life(QOL)はどのようにして評価されるか
推奨:
認知症者の QOL 評価法にはさまざまな観点があり、標準的方法は無いが、認知症者の重症度や環境などを考慮して適宜選択して使用することができる。
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QOL は、心身の機能、日常生活動作の能力、社会的活動などを総合した概念であり、どのように捉えるかによって評価法も異なる。
認知症者では QOL の低下が懸念されるが、QOL をアウトカムとした研究は十分に行われていない。
QOL の評価の方法として自己評価、他者評価、両者の組み合わせに大別されるが(表1)、自己評価は認知症が進むほど解答困難となり、他者評価は観察者バイアスを含むなどの問題がある。
全般的な健康関連 QOL の自己評価法として、Medical Outcome Study Short-Form 36-Item Helth Survery(SF-36)、EuroQol Instrument(EQ-5D)などは国際的に広く知られており、健常者や他の疾患と比較できるという利点がある。
進行した認知症者が解答するには複雑で、認知症者に於ける妥当性も高くはない。
認知症に特化した QOL 評価法は英語圏では 15以上あるが、QOL の定義や着眼点が評価法によって異なり、基準とされているものはない。
対象とする患者の重症度や環境などを考慮の上、適宜評価法を選択する。
Quality of Life in Alzheimer's Disease(QoL-AD)は、自己評価と他者評価を併用した簡便な評価法で、中等症までの Alzheimer 型認知症に適し、臨床研究でも広く使われている。
自己評価法としては、QOL は患者の主観の反映であるとする Dementia Quality of Life(DQOL)。
QOL は認知症の症状に影響されるとする Bath Assessment of Subjective Quality of Life in Demantia(ABAQID)がある。
他者評価法としては、わが国で作成された中等度から重度認知症向けの QOL-D。
患者の行動をもとに QOL を評価する Alzheimer's Disease Related Quolity of Life(ADRQL)。
QOL は個人と環境の関係に基づくとする Quolity of Life Measure for People with Dementia(QUALIDEM)。
Dementia Care Mapping(DCM)は、介護者ではなく第三者が認知症者とそのケア環境の両方を観察評価するもので、ケアを改善させる意図で作成され、重度認知症に向いている。