認知症診断後の介入、サポートはどうあるべきか
認知症者と家族の生活の質 quality of lime(QOL)を高めるには、認知症と神d何s慣れた早い段階から認知症を有しつつ生活する方法を伝え、社会資源へのつながりを促し、将来計画を考えるための診断後支援 post-diagonostic support が必要となる。
これには疾病教育、認知症カフェのような当事者コミュニティへの参加のほか、本人の意志を表明する文書作成、本人の希望に基づく将来の介護計画の作成まで含まれると考える国もある。
わが国に適した認知症診断後の介入とサポートの在り方について慎重な議論が必要である。
これまで認知症に関する医療は、早期診断と治療導入に関心を集中させてきた。しかし、このような取り組みだけでは、本人とその家族の受ける心理的打撃や将来に対する希望のない恐怖を緩和する対応が不十分であることが指摘されるようになった。
現在では、当事者が安心して将来に備えるために、診断後の早い段階から生活に役立つ情報や社会資源に関する情報を提供し、将来計画を考えるための実際的支援(診断後支援 post-diagonostic support)を行うことが必要と考えられ、取り組みがはじまっている国もある。
すでにこの支援を行っている国では、以下のような要素に配慮している。
患者を理解し症状に対処するのに役立つ指導を行う。患者支援ネットワークにつながるように促すことが重要で、これは患者を医療機関につなげる従来型の支援から、当事者や社会のネットワークへ支えるモデルへの転換を意味する。
患者がもともと属していた職場などのコミュニティへのつながりを意思辞する支援を行う。本人の社会におけるネットワークを維持し、周囲からの支援を最大化し、孤立を回避し、QOL を高め、将来の介護サービスへの依存を減少させる。
自分以外の当事者である「仲間」同士のつながりと相互援助を促す。同じ困難に直面する仲間との顔の見える関係は、生活の問題に対処し、病気と共に生活していく気持ちを維持する上で非常に有効である。患者団体等が運営する認知症カフェもこの一例である。
自分の将来に関する希望などを文書に残す為の支援を行う。必要に応じて、代理人を設定することも考慮する。
自分の展望で自分の介護の在り方を計画することを支援する。
このような post-diagnostic support は前もって決められた画一的で系統立った方法では無く、個別性と柔軟性の高い手段で行うべきであると考えられている。
わが国における今後の認知症診断後の介入とサポートの在り方については、文化や実情を考慮し、さまざまな立場から慎重な議論が必要であると考えられる。