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血管性認知症 vascular dementia(VaD)の画像所見の特徴は何か
VaD で最も多いタイプである小血管病性認知症は、ラクナ梗塞、白質病変がとくちょうてきであり 、その程度・分布が神経症状を説明するのに十分は場合には、認知症の責任病巣と考えられる。一方、脳卒中と認知症発症の時間的経過かあ責任病巣であるtこと支持されるばあいがあり、多発梗塞性認知症、strategic single infarct dementia が該当する。遺伝性の血管性認知症である cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy(CADASIL)、cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infardts and leukoencephalopathy(CARSIL)は、広範な白質病変、ラクナ梗塞、脳微小出血、脳委縮を示すが、側頭極における白質病変は特徴的である
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VaD で最も多い病型は脳小血管病性認知症である。ラクナ梗塞、白質病変が特徴的であるが、ラクナ梗塞が生じても無症候性にとどまる場合があり、必ずしも脳卒中後認知症や階段状に憎悪する認知機能障害の経過を示さない。このような場合、小血管病変の程度や広がり、部位が神経症状を説明するのに十分と判断される場合(neuroimaging-supported)には認知症の責任病巣と考える。一方、診断根拠として、脳卒中発作と認知症発症の時間的関連から責任病巣であることが支持される場合(temporally-supported)があり、多発梗塞性認知症や strategic single infarct dementia がこのタイプに該当する
VaD の MRI 画像の特徴として、ラクナ梗塞、白質病変、脳出血(深部型、皮質下型)、多発皮質梗塞、microbleeds(微小出血)、皮質微小梗塞、限局性脳表ヘモジデリン沈着症、血管周囲腔の拡大、境界領域梗塞、皮質層状壊死がある。粗く名梗塞は穿通枝領域に生じる径 3〜13mm の梗塞であり、T1 強調画像で低輝度、T2 強調画像で高輝度、FLAIR 画像で高輝度の縁取りを有する低輝度として観察される。白質病変は T1 強調画像で正常からやや低輝度、T2 強調画像、FLAIR 画像で高輝度域として観察される。若年者には少なく、加齢に伴って増加する。前頭葉や全角周囲に顕著であるが、Alzheimer 病や脳アミロイド血管症に伴うものは後角周囲に目立つ傾向がある。後頭葉・側頭葉は白質病変が比較的少ない場所であるが、CADASIL、CARASIL では側頭極病変が特徴的である。microbleeds は T1、T2 強調画像、FLAIR 画像などの通常の撮像法では観察されず。ヘモジデリンに高感度な T2 強調画像や磁化率強調画像 susceptibility-weighted imaging(SWI)などの特殊な撮像法で、3mm 以下(または、5mm、10mm 以下)の小円形の低輝度域として観察される。深部型、頭葉型(皮質・皮質下型)、両者の併存する混合がに分類されている。深部型 microbleeds は高血圧性脳小血管病に認められ、深部型を伴わない純粋脳葉型 microbleeds は脳アミロイド血管症で認められる。高齢者に見られる限局型脳表ヘモジデリン沈着症は脳アミロイド血管症との関連が示されている。皮質微小梗塞は数十ミクロンから 5mm の顕微鏡的病変で、画像での検出が困難とされてきたが、比較的大径のものは高磁場 MRI で検出可能であり、一部の皮質微小梗塞はアミロイド血管症と関連している、血管周囲腔の拡大は主に加齢に伴う正常所見と考えられてきたが、近年、高齢者においては脳小血管病の指標である可能性が指摘されている
画像以上と臨床亜型との対応は 表1 のごとくである。細動脈硬化やアミロイド血管症などで生じる脳小血管そのものの変化は、通常の MRI では抽出こんなんである。しかし、脳小血管病に伴って生じる血管病変は高精度に検出されるため、その臨床・画像所見がまとめられて脳小血管病の概念が提示されている