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dementia:14-7

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14-7 血管性認知症の危険因子

血管性認知症 vascular dementia(VaD)の危険因子とその管理はどのようなものか

VaD の生命予後は非認知症者に比べて有意に短い。Alzheimer 型認知症に比べても生命予後が短いとする報告があるが、その科学的根拠は不十分である

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VaD では、脳卒中発作のあと、またはそれに随伴して階段状に認知機能が増悪することが典型的である。脳卒中発症後に認知症を来す者は、脳卒中後認知症と呼ばれている。地域疫学研究では、脳卒中後認知症の割合は脳卒中患者の 30% とされ、その有病率は 1年後の 7% から、25年後には 48% に増える。脳卒中後認知症はその一部は Alzheimer 型認知症が原因であり、その割合は脳卒中後認知症の 19〜61% を占めている。脳卒中後認知症の頻度は地域疫学調査と病院調査で行っており、初発脳卒中を対象とした疫学調査では 7.4%、脳卒中再発患者を含む病院調査では 41.3% と幅が大きい

VaD の生命予後は正常対象より不良である。Alzheimer 型認知症と比べても有意に不良との成績があるが、有意差を認めないという成績もあり一定しない。Molsa らの報告では、Alzheimer 型認知症の 14年後の生存率は 2.4%(対照 16.6%)に対し、VaD では 1.7%(対照 13.3%)であり、VaD で生命予後が不良であった。また、発症後の生存期間の平均は VaD で男性 5.1年、女性 6.7年、Alzheimer 型認知症では男性 5.0年、女性 7.8年であり、VaD の方が全般的に短い傾向にあった。これに対し、Alzheimer 型認知症のアフリカ系米国人(113名)、同じく VaD(79名)を最長 7年間経過観察したコホート研究の結果では、両群の生存率に有意さを認めなかった

脳卒中後の認知機能低下の予測因子として、多くの報告で年齢と脳卒中の重症度があげられている。Efficacy of nitric oxide in stroke(ENOS)試験では、1,572名の脳卒中患者で 3ヶ月以内に 38% が認識能低下を示し、年齢と脳卒中の重症度に加えて、高血圧、心房細動、脳委縮が関連したとしている。VaD の予後不良に関連する因子として、Molsa らの報告では、男性、高齢、発症年齢、原始反射などがしてきされている。


認知症疾患診療ガイドライン

血管性認知症

dementia/14-7.1750020907.txt.gz · 最終更新: by nonbe