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dementia:15-1

15-1 孤発性 Creutzfelt-Jakob病の臨床的特徴

15-1 孤発性 Creutzfelt-Jakob病(CJD)の臨床的特徴は何か

孤発性 CJD はプリオン病のうちで最も多く、約 7割を占めている。典型例は急速進行性の認知症、小脳失調、錐体路・錐体外路徴候、四肢のミオクローヌスを呈し、数ヶ月以内に無動性無言に至る経過が特徴的である


わが国のプリオン病の発症率は人口 100万人当たり年間 1人程度で、平均年齢は 67.9 歳である。プリオン病は五類感染症に指定されており、診断した医師は診断後 7日以内に保健所に報告する必要がある。プリオン病には孤発性、遺伝性、獲得性の 3種類があり、最も多いのは、古典型孤発性 CJD である(表1)。典型例は古典型 classic と呼ばれ、急速進行性の認知症、ミオクローヌス、小脳失調、視覚異常、錐体路徴候、錐体外路症状などが出現し、平均 3〜6 ヶ月で無動性無言に至る。表2 に診断基準を示す。わが国の場合、全経過は 1〜2 年程度である。孤発性の中には比較的緩徐に進行する例もあり、緩徐進行型 CJD の中の MM2-皮質型は、失行や失語などの高次機能障害や抑うつ症状などの精神症状を呈することが多く、緩徐進行性の経過を示し、約 1〜2 年程度経過した後、歩行障害などの症状が出現する。また、MM2-視床型は不眠、自律神経障害、認知機能障害、精神症状を示し、古典型とは全く異なる経過を呈する。それらの症例は、病初期には大脳皮質基底核症候群 corticobasal syundrome(CBS)や進行性核上性麻痺 progressive supranuclear palsy(PSP)と診断されていることが報告されている。

孤発性 CJD の脳の解析に於いて、プロテアーゼ抵抗性プリオン蛋白 prion protein(PrP)は、ウェスタンプロット解析により 1型と 2型に分けられる。また、PrP 遺伝子コドン 129多型(メチオニンをホモで持つ MM型、バリンをヘテロで持つ MV型、バリンをホモで持つ VV型)との組み合わせにより孤発型 CJD は MM1、MM2、MV1、MV2、VV1、VV2 の 6型に分類され、MM2型は臨床病理所見により MM2-皮質型と MM2-視床型に分けられる。MM1 型が最も頻度が高く、古典型の経過をとる。詳細は 文献 5)および 6)を参照されたい


認知症疾患診療ガイドライン

プリオン病

dementia/15-1.txt · 最終更新: by nonbe