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dementia:15-3

15-3 わが国に多い遺伝性プリオン病の種類

わが国に多い遺伝性プリオン病の種類と特徴は何か

遺伝性プリオン病は、遺伝性 CreutzfeldtーJakob 病(CID)、Gerstmann-StrausslerーScheinker 病(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)に分類される。わが国の遺伝性プリオン病はプリオン蛋白遺伝子変異の V1801(CJD)、P102L(GSS)、E200K(CJD)、M232R(CJD)が多い。V1801、M232R はほとんどが孤発例として発症するため、診断には遺伝子検査が必須である。V1801 は高齢発症で、多くが緩徐進行性の認知症を呈する。P102L は小脳失調で発症し緩徐に進行し、E200K は古典型孤発性 CJD と同様の経過を呈する。近年、自律神経障害を主症状とするタイプが報告されている


わが国のプリオン蛋白の遺伝子変異は V1801(CJD)、P102L(GSS)、E200K(CJD)、M232R(CJD)が多く、欧米と頻度が大きく異なる。そのうち V1801 はわが国や韓国に多く、M232R や P105L(GSS)はわが国に特有である。遺伝性プリオン病は通常は常染色体優性遺伝であり、P105L では全例で家族歴を認めるが、V180I、M232R はほとんど家族内発症を認めず孤発性 CJD として発症するため、診断のためには遺伝子検査が必須である

V180I は平均発症年齢が77歳と高齢で、緩徐進行性であることが多い。。認知症で発症し、脳波上周期性同期生放電 periodic synchronous dischange(PSD)が認められにくいため、Alzheimer 病との鑑別が重要となる。MRI 拡散強調画像に於いて、後頭葉や中心溝付近を除いた大脳皮質と基底核に高信号が認められ、本変異に特徴的である。髄液検査 real-time quaking-induced conversion(RT-QUIC)の陽性率は低い

P102L 変異 GSS の平均発症年齢は55歳と若く、家族歴を有することが多い事より問診が重要である。頭部 MRI では初期に変化を認めることが少ない。約90%が小脳発症で発症し、CJD の病型を呈する症例も少なくない、脳波 PSD の陽性率も低いが、RT-QUIC assay 法の陽性率は高い

E200K 変異 CJD の経過は古典型孤発性 CJD と類似しており、急速進行性である。わが国では家族歴が確認されている例は半数程度で、問診が重要である。発症年齢は58.6歳と若い。脳波上 PSD、頭部 MRI 拡張強調画像、髄液検査は効率で陽性となる

近年、自律神経障害、末梢神経障害を主症状とするタイプが報告されている

詳細は文献 9)を参照していただきたい


認知症疾患診療ガイドライン

プリオン病

dementia/15-3.txt · 最終更新: by nonbe