ユーザ用ツール

サイト用ツール


dementia:15-4

文書の過去の版を表示しています。


15-4 わが国に多い獲得性(感染性)プリオン病の種類

わが国に多い獲得性(感染性)プリオン病の種類と特徴は何か

わが国で確認されている獲得性プリオン病は、変異型 CreutzfeldtーJakob disease(variant CJD: vCJD)と硬膜移植関連 CJD の 2種類である。硬膜移植 CJD dura mater graft-as-sociated CJD(dCJD)は全世界の半数以上を占め、手術から 30年以上経過して発症する例もある。2/3 が非プラーク型で古典的 CJD に類似した臨床像をとり。1/3 がプラーク型で比較的緩徐進行性の運動失調症状などを呈する


獲得性プリオン病は、kuru、vCJD、医原性 CJD に分類される

vCJD の発症年齢は平均 29サイト、他のプリオン病と比較し若年発症であり、焦燥感や抑うつなどの精神症状で初発するため、精神疾患と誤診されることが多い。進行すると徐々に認知機能障害や失調などの運動症状が出現する。経過中に異常感覚や感覚障害を呈する頻度が高いことが知られている。頭部 MRI 拡張強調画像で視床枕の高信号域(pulvinar sign)を求める。脳波では周期性同期生放電 periodic synchronous discharges(PSD)は通常出現しない、わが国における vCJD の報告は、1990年前半に英国滞在歴があり、海外渡航より 11.5年後に焦燥感などの精神症状で初発した男性例の 1例のみで、長期の経過で PSD の出現が確認されている

わが国では 1例の vCJD を除いて、全例が硬膜移植による医原性 CJD であり、148症例が確認されている(2015年2月サーベイランス委員会)。硬膜移植の原因となった手術の疾患は 表1 のとおりであり、使用した移植硬膜が判明している症例の全例でドイツ B.Braun 社のヒト乾燥硬膜 Lyodura を使用しているが、全世界の症例の半数以上がわが国のものである(表2)。Lyodura の使用中止(1997年3月)後に手術を受けた患者からは発症していない。医原性 CJD は減少傾向にあるが、手術から 30年経過した症例でも発症が確認されている。dCJD の 2/3 は古典的 CJD と類似の離床病理像を呈し、1/3 の症例では比較的緩徐進行性の失調症状で発症する(表3)。緩徐進行例の検査では、初期には脳波上での PSD が出現しにくく、脳病理学的にプラーク状の異常プリオン蛋白の沈着を認める(表4)

硬膜移植による CJD 症例に関しては、下記患者・家族会によるサポート体制があるので、利用すると良い

ヤコブ病サポートネットワーク: http://www.cjdner.jp/


認知症疾患診療ガイドライン

プリオン病

dementia/15-4.1760909785.txt.gz · 最終更新: by nonbe