Alzheimer 型認知症の診断基準は何か

Alzheimer 型認知症の臨床診断は、米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル第5斑(DSM-5)あるいは米国国立老化研究所と Alzheimer 教会(NIA-AA)による診断基準の使用が推奨される。厳密は診断と研究の目的には、国際ワーキンググループによる IWG-2 AD 先端研究診断がある

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米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアルによる認知症と Alzheimer 型認知症の診断基準が 2013年、19年ぶりに 5版に改訂された。dementia の用語を廃止し、major neurocognitive disorde [認知症(DSM-5)]に改められた。Alzheimer 型認知症の診断は認知症であること(基準 A)、潜行性の発症と緩徐な進行(基準 B)と他の疾患の除外(基準 D)に基づいて、ほぼ確実(probable)と疑い(possible)の水準に分類された(基準 C)(表1)。アミロイド PET や脳脊脊髄中の Aβ42 の定価の診断的意義は記載されたが、APP、PSEN1/2、APOE ε4 の遺伝学的解析や脳脊髄液総タウ、リン酸化タウ、MRI による海馬・側頭葉皮質萎縮、FDG-PET による両側頭葉の糖代謝定価は今後の臨床応用とされた

2011年に、米国国立老化研究所 National Institue on Aging(NIA)と Alzheimer 協会 Alzheimer's Association(AA)による認知症と Alzheimer 型認知症の診断基準が提案された(表2)。Alzheimer 病は脳病理を反映する用語となり、病期と臨床症状により無償後期 Alzheimer 病(preclinical Alzheimer 病)、Alzheimer 病による軽度認知障害(MCI due to Alzheimer 病)、認知症を発症した Alzheimer 型認知症と細分された。緩徐進行性の記憶あるいは非記憶領域の客観的認知機能障害の存在が、臨床主要基準として提案された。アミロイド蓄積のバイオマーカーとしての脳脊髄液 Aβ42 低下と PiB アミロイド PET による Aβ 蓄積、神経変性のバイオマーカーとして脳脊髄液総タウとリン酸化タウ上昇、FDG-PET による糖代謝低下、MRI による進行性脳委縮、遺伝学検査などの進歩も記載され、研究用診断基準としても整備された。NIA-AA の臨床診断基準を Alzheimer's disease neuroimaging initiative(ADNI)コホートでの脳脊髄液 Aβ42 或いは PIB-PET で検証した probable Alzheimer 型認知症の診断感度は 91% である。前頭葉側頭葉変性症 frontotemporal lobar degeration(FTLD)を鑑別出来る感度と特異性は、それぞれ 66% と 94% である

2014年に国際ワーキンググループ International Working Group (IWG)と NIA-AA により Alzheimer 型認知症の臨床症状をより明瞭に分類し、バイオマーカー所見を採用した Alzheimer 病先端研究診断基準(IWG-2 診断基準)が提案された(表3)。出来事記憶 episodic memory 障害から始まり、他の領域の大脳皮質症状に進展する典型的な Alzheimer 型認知症と、近年明らかにされた後頭部大脳皮質萎縮症 posterior cortical atrophy、ロゴペニック型失語 logopenic aphasia、前頭葉型 frontal vairnt などの特殊な臨床症状から始まる非定型 Alzheimer 型認知症に大きく臨床型を分類し、脳アミロイド PEt、総タウかリン酸化タウ増加を伴う脳脊髄液 Aβ42 低下、遺伝学的検査を必須検査としたものである。脳脊髄バイオマーカーの診断感度は 90〜95%、診断特異性は 90% で、florbetapir(AV-45)核種による脳アミロイド PET と剖検脳病理所見との一致率は 96% であることから、本診断基準の診断感度は 93〜100% と推定される


認知症疾患診療ガイドライン

Alzheimer型認知症