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Alzheimer 型認知症の診断に有用なバイオマーカーは何か

脳髄液(CSF)Aβ の低下、総タウあるいはリン酸化タウの上昇は、Alzheimer 型認知症の診断と発症予測のバイオマーカーとして多くの前向き大規模研究によってエビデンスが明らかにされている。常染色体優性 Alzheimer 病の観察研究 Dominantly Inherited Alzheimer Network(DIAN)では、Aβ42 は予測発症年齢の25年前から減少し、総タウは15年前~上昇することが示された。NIAA-AA 基準では Alzheimer 型認知症や経度認知障害の研究時の使用が推奨されたが、IWG-2 Alzheimer 型認知症先端研究診断基準では必須となっている

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脳脊髄液 cerebrospinal fluid(CFS)Aβ42 の低下は脳 Aβ 沈着量と相関する。CSF 総タウおよびリン酸化タウの上昇は神経原線維変化と神経細胞死を反映する。これらは、多数の前向き大施設大規模研究によってバイオマーカーとしてのエビデンスが明らかにされている。単独では Aβ42 が最も優れ(感度 81〜96%、特異度 77〜89%)、Aβ42 と総タウまたはリン酸化タウを組み合わせることでさらに診断の正確度を上げることができる(感度 60〜92%、特異度 47〜93%)(表1)。また、健常者または経度認知障害 mild cognitive impairment(MCI)から Alzheimer 型認知症を発症する予測マーカーとしても多くの報告がなされている(Aβ42 と総タウまたはリン酸化タウの組み合わせで感度 83〜98%、特異度 38〜90%)(表2)


認知症疾患診療ガイドライン

Alzheimer型認知症