10-2 大脳皮質基底核変性症の認知機能障害治療
大脳基底核変性症 corticobasal degeneration(CBD)の認知機能障害に対する有効な薬物療法・非薬物療法はあるか
CBD の認知機能障害に対する有効性が確立された薬物療法・非薬物療法はない。大脳皮質基底核症候群 corticobasal syndrome(CBS)で背景病理が Alzheimer 病と考えられる場合は、コリンエステラーゼ阻害薬あるいは N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬を試みても良い。言語障害、行動障害、視空間障害などに対し、リハビリテーションを行うことが推奨される
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1. 認知機能障害に対する薬物療法
CBD で認知機能障害に対する薬物療法で、一定程度以上のレベルをもったエビデンスのある薬剤はない。CSB では専門家の個人的見解に基づいてコリンエステラーゼ阻害薬が試みられている。NMDA 受容体拮抗薬の効果は不明である
2. 行動・心理症状に対する薬物療法
CBD の行動・心理症状に対するエビデンスは乏しい。うつにたいして選択的セロトニン再取り込み阻害薬 selective serotonin reuptake inhibitors(SSRI)である塩酸セルトラリンが有効であるかもしれない。アパシーや不安に対しては、コリンエステラーゼ阻害薬が使用されるが、難治性である
3. 非薬物療法
CBD の認知機能障害に対する理学療法、作業療法、言語聴覚療法については、一定程度以上のレベルを持ったエビデンスのあるものはないが、有効である可能性がある。専門家の個人的見解として、CBD のうつに対し、認知行動療法が有効な場合がある