認知症の診断基準にはどのようなものがあるか

代表的な認知症の診断基準には、世界保健機関による国際疾病分類第10版(ICD-10)や米国国立老化研究所/Alzheimer 病協会ワークグループ National Institute on Aging-Alzheimer's Association Aorkgroup(NIA-AA)基準、米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)がある。


ICD-10(1993年)では「通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次脳機能障害からなる症候群」とされており、表1 に診断基準の要約を示す。

NIA-AA(2011年)による認知症の診断基準では、記銘記憶障害、遂行機能低下、視空間認知障害、言語障害を同等に扱い、さらに行動障害を含め、Alzheimer 型認知症以外の認知症疾患にも対応した診断基準となっている(表2)。

DSM-5(2013年)では、neurocognitive disorders(神経認知障害群)という新たな用語が導入され、dementia の代わりに major neurocognitive disorder(認知症(DSM-5))という用語が用いられている。神経認知領域は、複雑性注意、遂行機能、学習及び記憶、言語、知覚-運動、社会的認知の 6領域の中から 1つ以上の認知領域で有意な低下が示されることがあげられているが、新たに情報源が具体的に記述されている。そして、認知の欠損によって日常生活が阻害される場合に認知症と診断される(表3)。


認知症疾患診療ガイドライン

認知症