8-5 前頭側頭葉変性症の家族・介護者への指導
前頭側頭葉変性症 frontotemporal lobar degeneration(FTLD)患者の家族や介護者に対してどう指導したら良いか
FTLD の症候学をふまえた家族、介護者教育が推奨される
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FTLD は、脱抑制や非社会的行動、常同行動、食行動異常、被影響性の更新などの精神症状や行動障害が、Alzheimer 型認知症に比べて初期から顕在化する。これらの多彩な行動障害により、FTLD 患者の介護者は、Alzheimer 型認知症患者の介護者よりも介護負担が大きくなっていることが報告されている。患者の行動異常や言語障害の評価をもとにして、各症例に応じて家族の病態理解を進めることや、対応方法を指導することが大切である。また、2015年7月1日から FTLD は指定難病となっており、適切な医療費助成の申請方法について説明、指導していくことは大変重要である
Kumamoto らは、2例の FTLD 患者の呈する行動異常、中でも口に食べ物を詰め込む行動やテーブルマナーの悪さ、介護への抵抗、落ち着きの無さなどが、著しい介護負担と関連していることを明らかにした。従って、家族介護者に対しては、患者の状態に応じた個別の指導や支援が必要である。家族が病態を理解することによって患者への接し方が代わり、介護者の負担が大幅に軽減されることも多い
Nunnemann らは、FTLD 患者の介護者の負担、問題点、ニーズなどに関する論文は非常に少ないこと、診断の遅れ、若年発症、行動障害、情報や適切なケア施設の欠如、介護者のうつ、社会的孤立、個人的ニーズなど特異的な問題が含まれていること、一方で FTLD の介護者の真のニーズに関する研究が必要なことなどを指摘している