4C-1 軽度・中等度認知症者に対する指導・支援
軽度・中等度認知症者に対する指導・支援にはどのようなものがあるか
ケースマネージメント(ケアマネジメント)には、短期的には施設入所や介護費用を減らすなどの効果が認められる。認知症に関する教育やピアサポートなどが、患者本人のうつ状態の改善や生活の質 quality of life(QOL)の向上に有効である
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軽度認知症とは、Clinical Dementia Rating(CDR)1 に該当し、基本的日常生活動作 activitiea of daily living(ADL)は自立しているが、社会的・手段的日常生活動作 instrumental ADL(IADL)には視床がある状態で、かつ、その原因が認知機能低下によるものである。中等度認知症とは、CDR 2 に該当し、ADL にも障害があり、日常生活を行う上である程度の介護が必要な状態で、かつ、その原因が認知機能低下であるものである。
ケースマネージメントとは、l看護師やソーシャルワーカーなどの専門職によって行われる、地域在住の認知症者のニーズに合わせてケアの著油性を行ったりケアプランを立案したりするさまざまな活動のことである。13件のランダム化比較試験 randomized controlled trial(RCT)につてのレビューによれば、ケースマネージメントには、短期的には認知症者の介護施設入所や介護費用を減らす効果が認められたが、長期的な効果は不確かであったという。うつ状態や認知機能などへの効果も不明確である。ケースマネージメントは、わが国の介護保険制度に於ける介護支援専門員(ケアマネージャー)によるケアマネジメントとほぼ同義と考えられるが、この 13件の RCT にはわが国の研究は含まれない
認知症に関する教育、相互支援、ピアサポート、情報交換などの場となる Social suport groups for people with demantia は、患者本人のうつ状態の改善や QOL、自尊感情の向上に有効である
初期の認知症者とその家族を対象とする多職種による教育P留グラムにおいては、認知症の症候や信仰につての医学的知識をコアに含めるべきである
認知機能訓練もしくは認知リハビリテーションが、記憶力を中心とする認知機能改善を目的に数多く行われている。11 の認知機能訓練と 1 つの認知リハビリテーションの RCT に関するレビューでは、認知機能訓練に関する研究の質が低く、認知機能や情緒、ADL 改善効果のエビデンスは認められなかったが、認知リハビリテーションでは軽度の Alzheimer 型認知症者の ADL を改善する効果が示唆された。認知機能訓練では特定の認知機能に対応した課題を訓練するのに対して、認知リハビリテーションでは患者のニーズに合わせた代償手段の導入などを行う
回想法、バリデーション、音楽療法、エクササイズ、アロマセラピー、光療法などの非薬物療法の有効性を示唆する研究論文が多数ある。しかし、それらの研究論文は、いずれも対象数が少ない、対照群が設けられていない、評価方法が標準化されていないなど、エビデンスとしての質に問題があるため、それらの療法を積極的に推奨することはできない
コンピューターを用いた支援機器やロボットによる ADL や娯楽活動の支援が試みられており、今後の発展が期待出来る。軽度の認知症者では時間に合わせて入浴の活動などを促したりするシステムが有効である。中等度の Alzheimer 型認知症者を対象とした研究では、コンピューターで作業手順を図によって段階的に示す事で、独力でコーヒーを入れたりスナックを作ったりできるようになったという。また、自分で選局して音楽を楽しむこともできたという