地域包括支援センターの機能と役割は何か

2006年に設置された地域包括支援センターは、これまで必ずしも認知症に対する業務内容が明確では無かったが、認知症者を支える ① 総合相談・支援事業、② 権利擁護業務、③ 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務、④ 予防給付・介護予防マネジメント業務、の中枢として重要な役割を担ってきた。今後はさらに地域包括ケアシステムの中核拠点機関としてその重要性が増すと考えられる

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地域包括支援センターは2006年の改正介護保険法の施行に伴い、地域包括ケア推進の拠点として各市区町村に設置することとされ、その内容は「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」と規定されている。具体的には、社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師または地域ケアの経験がある看護師の 3職種がチームとなって、① 総合相談・支援業務、② 権利擁護業務、③ 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務、④ 予防給付・介護予防マネジメント業務などを担うことである(図1)。その課題として、1)家族構成数の減少に伴う家族介護職が無い世帯への対応、2)単身で身寄りがない世帯の急増に伴う生活支援の課題、3)認知症の要介護認定の課題、4)認知症の地域ケアにおける医療連携上の課題があげられている。3)は初期の例では介護度が低く評価されやすいこと、重度では夜間の介護や給付限度を超えたサービスが課題になる。4)では ① 認知症初期段階での受信拒否、サービス拒否事例への対応、② 包括的・継続的ケアマネジメント支援における医療との連携、③ 認知症の行動・心理症状 behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD)悪化時における医療・介護連携が課題としてあげられている。地域包括支援センター業務が、介護予防ケアマネジメント業務など他業務の増大によって相談業務の業務全体に占める割合が低く、支援業務が十分家族に伝わっていないという指摘や、地域包括支援センター業務マニュアル内にセンターの取り組むべき認知症対策の具体的内容が明確に位置づけられていない、という指摘がある。別項で示されるように、認知症初期集中支援チームが地域包括支援センターに設置されることが、これらの問題点に対する 1つの解決策として期待される


認知症疾患診療ガイドライン

諸制度と社会資源