3C-4 摂食障害・低栄養の対応
摂食障害・低栄養の対応はどのように行うか
Alzheimer 型認知症では、食行動の変化、食欲低下、嚥下障害、自律神経障害のため摂食困難になることが考えられる。体重変化、食事量を聴取し、栄養評価、誤嚥の予防、服用薬剤の見直し、経口摂取および経管栄養の是非について検討を個々綯うことが大切である
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多くの認知症者で摂食障害・体重減少・低栄養が問題となる。
経度の Alzheimer が亜認知症では 30% 強になんらかの食行動の変化が認められ、16% に食欲の低下があった。Riviere らによる中等度 Alzheimer 型認知症 224人を対象とした検討では、26% に「食事中に席を立つ」「手で食べる」などの摂食行動障害が認められた。重度認知症になると 8割に体重減少、嚥下障害、食事拒否、食事量低下、脱水が認められると報告されている。
Ismail らは Alzheimer 型認知症ではなぜ食欲が低下するかについて、脳血流 SPECT で前部帯状回などの血流が低下していることを報告しており、食べる意欲に関係しているのでは無いかと推察している。
血管性認知症でも摂食障害が出るが、認知機能低下が経度であっても、脳血管障害の局在に応じて、視空間認知障害、犠牲球麻痺による嚥下障害などが出現し、個人差が大きい
Alzheimer 型認知症の治療薬として知られるコリンエステラーゼ阻害薬の副作用として消化器症状があげられるが、その多くは一時的な者で、長期間に投与すると体重減少を抑制できるという報告もある。
低栄養になると日常生活動作 activities of daily living(ADL)や免疫力が低下し、感染症、褥瘡の危険も増す。低栄養に対して、栄養状態の評価を行い、嚥下機能評価と食事形態の検討、食思不振の原因となる服薬の確認、栄養補助食品や経管栄養の検討などの対応を行う。
2014年、嚥下障害のある重度認知症への経費内視鏡的胃瘻造設術 percutaneous endscopic gastrostomy(PEG)栄養が有用であるかについてのシステマティックレビューが Goldberg らによってなされた(1995-2012年の論文による)が、PEG 栄養により長期的に生存期間下延長するというエビデンスは無いという結果であった。
Affo らのレビューによると、Alzheimer 型認知書では嚥下障害や自律神経障害を合併しやすい可能性があるが、その関連については明らかにされていない。