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研究掘削船・グローマーチャレンジャー号による国際深海掘削計画の実施
528 地点での海底堆積物柱状資料の掘削採取
南海トラフに存在している堆積層の物質構成を確認する作業を実施したところで発見した事実
掘削地点 水深 4800m の深海底堆積層に川や湖などの淡水に棲むケイ藻が含まれていた
コアの中に数ミリメートルから 1/10 ミリメートル程度の大きさのたくさんの火山岩片が含まれており、風化が少なく噴出が新しく見られる砂粒状の堆積物
観測地点から一番近い陸地は四国で、一番最近の地質時代、第四紀(最近 170 万年間)に活動した火山は無い。
南海トラフに面した陸地で火山活動が活発な場所は、九州と伊豆・箱根地方になる
プレートテクトニクス
テクトニクスとは、地質構造の形成を研究する学問のこと
プレートは中央海嶺で玄武岩マグマが冷えて出来上がる。さらに冷却が進むと、マントルの上部も冷えて、堅い岩盤になり、その下の柔らかい層の上をすべるように移動し、海溝で沈み込み再びマントルへ入っていく
プレートとは、主として地震学的性質から求められた岩圏の力学的性質に基づく用語
大陸もまたプレートの一部をなしている
大陸プレートもまた、地殻とマントル最上部の岩石から成り立っている
中央海嶺でプレートが生産されて拡大していく時に、プレートとプレート間で横ずれ運動が起きる場合がある
この横ずれ境界をトランスフォーム断層と呼ぶ
マントル深部からマグマの上昇してくる場所、ホットスポット上をプレートが横切ると海山列が出来上がる
プレートは、中央海嶺で生まれた時は、その表面は 約2000m 程度の水深を持っている、これが冷えて固まってくると重量(密度)が増して重くなり沈降する
プレートの運動は、大陸の移動や山脈の形成など、地球表面の地質や地形の成り立ちを支配している
日本列島のように、オプレートの沈み込むエリアでは、地震、火山活動、地殻変動(地盤の隆起や沈降など)の原動力になる
日本列島にはふたつの海洋プレート、太平洋プレートとフィリピン海プレートが沈み込んでいる
太平洋プレートのうち、日本海溝に沈み込もうとしている部分は、1億1千万年前から1億3千万年前までに造られたもの
フィリピン海プレートはもっと若い年代のプレート
南海トラフは年齢の比較的若い、浅い海洋底の沈み込みとなっている
水深の浅い理由は、厚い堆積層によってトラフが埋め立てられている
この堆積層は、フィリピン海プレートに乗ったまま沈み込んでいる
南海トラフの反射人工地震波探索記録
縦軸は地震波が発信後ハイドロフォンで地震されるまでの時間
橫軸は実際に地震波を発信した回数
回数ごとに記録された反射波形を縦に並べたものがこの図
船が一定速度で航走、一定間隔で地震波を発信
音を出した回数は距離に換算することができる
強く地震波が反射されるとこが黒い線状に表現されている
このような反射の強い面を反射面という
海水と海底面の境界で強い反射が見られ、これが海底地形を表してる
右側の縦軸 約7.1秒 のところに強い反射面が見られる
この反射面は、南海トラフのそこから陸側の周面の地下深くまで連続して追跡できる
フィリピン海プレートの最上部にある玄武岩層とその上の堆積層との境界の反射面にあたる
海洋プレートというのは、中央海嶺で海底下のマグマだまりから作られる
海洋プレートが出来る時、玄武岩の熔岩が吹き出して海底の表面に流れ出す
海洋プレートの上面は熔岩で出来ている
熔岩層は、上に降り積もった堆積層より密度が高いために両者の境界は地震波を強く反射する
地震波探査の記録では明瞭な反射面としてあらわれる
pen-wakame.svg_16_nolink 南海トラフの中央部では玄武岩層の上位に水平の反射面が何層も見られ、厚い堆積層があることがわかる
その厚さは 約1000m ある
地震波の伝わる時間に伝播速度を掛けると地層の厚さになる
堆積層はふたつの部分、下部の比較的透明な部分と上部の反射面のたくさん認められる部分に分けることができる
これらを上部層、下部層と呼ぶ
上部層は陸の方に追跡しいていくと褶曲する様子が見えると同時に、斜めに入った反射面で水平の反射面がズレて断層が見られる
上層部が陸側に向かって褶曲し、断層で断ち切られて変形している様子がわかる